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GO BEYOND な

竹内智香(タケウチトモカ)

スノーボードアルペン選手

対談インタビュー 3/5

どんな時も普通に過ごせる“同じ自分”でいること。

佐野:モチベーションコントロールをしていく、やっていることを励みにしていくことがあると思います。まわりで応援してくれている人たちとか、自分がそうでありたいとか、考えることはいろいろとあると思いますが、試合前とかオリンピック前とか、どうやってモチベーションをコントロールしているのかなと。
尤も、先ほどの話からすると、意外とモチベーションコントロールなどせずに、リラックスした状態を作っていくことを大切にしていると感じます。その辺りはいかがでしょうか。

竹内:昔はレースにでると緊張もしました。また、レースがあるからそこまで頑張ろう、最後まで走りきろうと思うことが先立っていました。
しかし最近は、普段やっていることは大会でできると思うんです。たまに火事場のばか力みたいな独特な力を発揮できる日もありますが、どんな時も普通に過ごすことが一番結果に繋がり大切だと思っています。競技に直接繋がるわけではないですけど、普段の生活から誰と居ても何処に居てもどんな人たちといても同じ自分でいたいと考えています。
人によって接する姿勢を変えなければならない時もあります。例えば、お世話になっている方にお会いする機会などです。
しかし、可能な限り友達でもスポンサーの方たちでも、皆に対して同じような気持ちでいたい、オープンな気持ちでいたいです。それによって変わらない自分が確立されると思いますし、そうすることでレース臨む時の自分も、普段の自分もすべてひとつでいられると思うのです。
こういうことはできるだけ大事にしたいなって思っています。
モチベーションが上がる上がらないというのは、そもそもその時の気持ちの問題です。上がらないときはあせらずに上がらない自分を認めようって思っています。
特に昨年一年間は、世界選手権以外は、ほんとに気持ちが上がりませんでした。勿論レースは楽しいし、勝ちたいって思うのですが、今までのようなわくわく感ないというか…。
オリンピックがあまりにも楽しすぎて、それとはちょっと刺激が違いすぎるなって。ああ、これが引退に近づく感覚なのかな、とも考えました。
でも、シーズン終盤の世界選手権の時、「ああやっぱり楽しいな」って思えました。
だから世界選手権・オリンピックがあるから四年っていうスパンで頑張れるんだって。
今思うに、モチベーションが切れていても絶対に大事と思える大会であるオリンピックとか世界選手権とか日本で開催されたワールドカップとかに絶対気持ちが上がってきて、結果が残せるんだということを去年知ることができた。これはこれで良かったです。
ずっとワールドカップが良くてオリンピックがダメというサイクルにはまる選手がいます。そういった選手は、なかなかそこから抜け出せない。自分でそのサイクルを作り出してしまっています。自分で引き寄せてしまっている選手が多いと感じます。
私は、やっぱり大事な大会だって思うときには必ずそこにもっていけるようになった。もし調子が悪くても、どんなに忙しくても結果が残せた。ここ最近、とてもいいサイクルを過ごせていると思いますし、続けたいと思います。

佐野:とても興味深いですね。良い結果をだす為の中間プロセスを私達は拝見する機会がないのですが、ちゃんと結果をだされている姿をみると、竹内さん自身のコントロール自体が、ナチュラルにやれている部分と、体が焦点を合わせられる仕組み(サイクル)がうまくできていらっしゃるんだなと感じます。

自信・自立・自分で考える。自分で決めたことは全て自己責任。

佐野:ここ最近は日本で過ごされることが多いとお聞きしましたが、これまで海外でも色々とチャレンジしてきて、国内じゃ得られなかったもの、海外だから得られたものはあったと思います。どんなことでしょうか。

竹内:自分に自信をもつこと、自立すること、自分で考える力、自分で決めたことは全部自分に責任があるということですね。
だから、リザルト(結果)が良くても悪くても全部自分に帰ってくるものだ、っていうことも知ることもできました。
日本にいたときは、どこかやっぱり何かのせいにする自分がいました。特に日本の環境について悲観していました。
それと同時にそういう自分が逆に醜いともずっと思っていました。
日本の環境が良くないとか、日本のスタッフが良くないとかって思っているなら、じゃあ変えればいいじゃないかと考えるようになり、トレーニング環境を変えるために単身スイスに行きました。
実際に行ってみて思うのは、やっぱり不満あるのであれば自分で行動をしていかないとだめだということ。行動を起こせないなら、不満は言ってはいけない。もし言えないし変えられないのなら我慢し、そこで結果を残して発言をしないといけない、ということも学んだことだと思います。

佐野:竹内さんは、もの凄くストイックだと思います。プロのアスリートも起業家も、アーティストも、すばらしい方は皆さん凄くストイックな部分を持ち合わせています。
更に、その地域に対する適合性、様々な変化に対する順応性を持っていますよね。だから世界で戦えているんだな、と納得します。

竹内:スイスに行った時は、やっぱり本場のチームはいいな、うらやましいなって思うことが山のようにありました。でもやっぱり日本人として生まれ、その環境にいるわけなので、それ全部ひっくるめて自分なのだと受け入れることだし、どうしても国の環境の差をいうのであれば究極には国籍を変える手段もないわけではないです。
原点に戻ると、その環境を自分で欲しいのか欲しくないのか、不満を言うのか言わないのかは、自分がどこまで行動できるかということにあるような気がします。

3/5

GO-BEYONDER No.001

スノーボードアルペン選手

竹内智香

1983年生まれ。北海道旭川市出身。広島ガス株式会社に所属。

小学校の卒業文集に「夢はオリンピック」と記していた。14歳の時に見た長野オリンピックがきっかけで本格的にスノーボード競技を始める。2014年2月のソチオリンピックパラレル大回転では銀メダル。スノーボード競技では日本人女性初のオリンピックメダリストとなり、アルペン種目では1956年・コルティナダンペッツォオリンピックのスキー回転で銀メダルを獲得して以来、58年ぶりの快挙となった。

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