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岩手県野田村出身、日本とフィリピンのハーフで、フィリピン国籍も有しており、現在は柔道フィリピン代表としてオリンピックを目指して活動しております。3人兄弟でフィリピン代表として活動しており、一番上の兄(中野 亨道)がフィリピン柔道代表として2016リオ五輪に出場を果たしており、現在は弟の双子(経清・修源)が現役、兄がコーチとして世界大会を回っております。
もう1つの母国フィリピンのためにも、そして同じ境遇を持ったハーフアスリートの未来のためにもバッシングや差別を受けながらも諦めずに夢を追っています。国の代表として戦う中で、やはり現地フィリピンのスポーツに対する支援は乏しく、将来の可能性があっても金銭面を理由に「目指したくても目指せない」という状況を目の当たりにしてきました。現在ハーフアスリートとして世界を回って活動していく中で、ハーフの生まれ持った可能性を発信していきたいという強い想いがあると同時に、この活動を通して、次の世代の未来ある現地の子どもたちがスポーツで活躍できる環境を作るきっかけになればと思っております。その環境を作るために尽力することこそが母国フィリピンへの恩返しであり、日本の心を持ったハーフアスリートの役目ではないのかと考えております。
フィリピン代表としてオリンピックに出場し、柔道フィリピン初のオリンピックメダリストになることが夢ではありますが、オリンピックが全てではないと思っております。バッシングや差別を経験した苦悩を発信しつつ、ハーフとしての可能性を広めて同じ境遇の人たちに勇気や希望を与えたいと考えています。
しかしながらフィリピンという国の貧困問題は絶えない課題となっております。貧富の差は激しく、"やりたくてもできない" "目指したくても目指せない"という想いを抱えている子ども達もたくさん居ます。スポーツにすらまともに触れられず、柔道着すら持てない環境の子ども達も多いのが現状で、その問題に対して自分達ハーフアスリートが何か出来ないかと考えた結果、兄のリオ五輪後から日本で使わなくなった柔道着を集めてフィリピンの連盟を通して現地に寄付するという活動や柔道セミナーを行っております。そして将来、フィリピン現地にスポーツアカデミーを設立し、たくさんの子ども達に日本の文化を伝えつつ、柔道はもちろん、スポーツ全体の底上げに加担出来ればと思っています。ハーフアスリートが育てた現地の子ども達が世界で活躍してくれることで国籍差別の問題も解決に繋がるのではないかと考えています。
競技を長年続けていく中で、嬉しさや喜びよりも悔しさや辛さのほうが多いと感じています。柔道を始めた小さい頃は地区大会や県大会でも負けなしで自信に満ち溢れていました。しかし今では戦う舞台が世界大会。勝って嬉しい場面よりも負けて悔しい場面のほうが上回ります。その度に自分の取り組んできた過程を反省したり後悔したりの繰り返しです。2021年のこの夏、東京オリンピックに出場することが夢で延期も重なって、この5年間色々な思いと犠牲を払って必死に目指してきました。しかしながら、あと1歩届かず落選してしまいました。またしても自分自身で覚悟や想いは足りていたんだろうか、と自問自答を繰り返しています。世界で戦えることの幸せと負けたときの辛さ、常に幸せと辛さは隣り合わせだと感じさせられました。世界には自分よりも強い選手がたくさん居ます。次のパリオリンピックを目指していく中で、その選手たちを超えていくためにも、今回の悔しい出来事は自分にとって必要なものだったと思える3年間にしてみせます。
GO BEYONDERとして、またハーフアスリートとして、日本人としてのプライドも背負いフィリピンの希望となるために共に活動していければと思います。
GO-BEYONDER No.289
柔道
中野経清
日本の岩手県で生まれ日本で育ち、8歳から地元のスポーツ少年団で柔道を始める。
幼少期から頻繁に母の実家があるフィリピンに行き来する中で、ハーフとしてフィリピンという国は自分の母国であるという想いを強める。差別的な発言や様々なバッシングも経験する中でも、自分の母国であることに誇りを持ち、2015年から柔道フィリピン代表として活動。様々な逆境の中で2016年リオデジャネイロ五輪の切符を掴み取った4つ上の兄の姿を見て、自分もフィリピンの国旗を胸に付け五輪を目指したい、これこそがハーフとしての可能性を証明できるチャンスであると強く思い決意。双子の兄弟である修源と共に、オリンピックを目指す。現地からの反対の声バッシングもあり、認めてもらえない時期もあったが、乗り越え、今では「フィリピンを選んでくれて、国を背負ってくれてありがとう。」と言ってもらえる存在となっている。夢は、コーチの兄と、自分たち弟は選手として、兄弟3人でオリンピックに出ること。同じ境遇を持ったハーフに夢を与え、そして将来ハーフではなく未来ある現地の子どもたちの中から世界で活躍できる逸材を育てる、その架け橋をするのが自分たちハーフアスリートの役目であり母国フィリピンへの恩返しであると考えており、フィリピンの柔道競技の発展に少しでも寄与したいと考えている。フィリピン代表としての誇りと感謝を忘れず、胸を張って、世界を相手に戦っていく。
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受賞歴
- 2021年
- ４月 アジア・オセアニア柔道選手権 73㎏級 7位
- ６月 世界選手権・ハンガリー 出場
- 2019年
- ８月 世界選手権・東京 73㎏級 出場
- 12月 Sea Games(東南アジアオリンピック) 73㎏級 3位
- 2018年
- 11月 オセアニアオープン・パース 73㎏級 5位
- 12月 アジアオープン・香港 73㎏級 5位
- 2017年
- ７月 Sea Games（東南アジアオリンピック）73㎏級 3位
- ８月 アジアオープン・台北 73㎏級 5位
- 2016年
- 10月 ベトナム国際柔道選手権大会 73㎏級 3位
