183
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

GO BEYOND な

仙田凌(センダリョウ)

アルティメットプレイヤー

"世界一を取るために選んだ
アルティメット世界最高峰への挑戦"

アルティメットはフライングディスクを使って行うチームスポーツで、フライングディスクを地面に落とさないようにパスだけで運び、敵陣の得点ゾーン内でディスクをキャッチすれば得点となるスポーツです。他の球技にはないディスクの飛行特性を操る技術が必要になります。

また、サッカーやラグビーなどとほぼ同じ大きさのフィールドを走ってパスを繋ぐための走力や持久力などを必要とすることから「Ultimate (=究極)」という名前が付けられました。ディスクが地面に落ちてしまうと相手に攻撃権が移ってしまうことから、ディスクの特性を活かして正確に操る「華麗なパスワーク」、風によって浮いているディスクを飛びつきながら掴む「ダイビングキャッチ」、コートの端まで届く「ロングスロー」などのダイナミックなプレーが魅力です。

2012年度以降、日本でも中学校の学習指導要領にゴール型の球技として採用されており、道具を操る能力や参加生徒全員の運動量確保、ルールとフェアプレー精神に従い自分たちで判断をして試合を進めるセルフジャッジなど数多くの観点から日本体育協会にも評価されています。また、2028年のロサンゼルスオリンピックに追加種目として選ばれる可能性でも注目が集まっています。

私がアルティメットと出会ったのは、大学入学時でした。高校まではサッカー部でゴールキーパーをしていましたが、いつも補欠。小さな頃に夢見ていたJリーガーになることも厳しいと考え、大学ではスポーツは続けずに、勉学に励もうと考えていました。そんな時に、大学入学後すぐに知り合った友人が誘ってくれたのが、大学にあったアルティメットのサークルでした。

初めは続けるつもりはなく「友人を増やすつもりで行ってみるか」という気持ちでしたが、フライングディスクを投げてみると、すっかりその虜になってしまいました。

フライングディスクを投げる楽しさ、試合でロングパスをキャッチして得点する楽しさにすっかりハマってしまい、いつしか「全力でこの競技と向き合って日本代表になりたい」と思うようになっていました。

その後は、大学の授業の合間のたびにディスクを投げ、アルティメットができるイベントがあるたびに参加し、大学2年生になる頃には日本代表の選考会に挑戦していました。

2015年7月
WFDF2015 世界U-23アルティメット選手権 メン部門 第3位
2015年11月
WFDF2015 アジア・オセアニアアルティメット選手権 メン部門 優勝

個人の力を高めるとともに、
日本代表が世界一を取るためのヒントを探したい

私自身は現在、アルティメット世界最高峰と言われるアメリカ・カナダにあるプロリーグThe American Ultimate Disc League (AUDL:https://theaudl.com/)のSan Diego Growlers (https://theaudl.com/growlers) に所属しています。2019年1月に渡米し、チームのトライアウトを受け、2月に契約に至りました。4〜8月のシーズンに選手として試合に出場することを目指し、活動を続けています。海外のチームに所属するのは初めての経験ですが、初年度からチームの主力として活躍することが目標です。

海外で活動したいと思ったのは、2015年の23歳以下世界大会と、その後のA代表挑戦という2つの経験がきっかけです。

2015年23歳以下世界大会での日本の成績は3位。自身も多くの出場機会をいただくことができました。しかし、準決勝で対戦したカナダには大敗。さらに、そのカナダは決勝でアメリカに敗れました。アメリカとカナダには当時からプロリーグでプレーする選手も多くおり、日本が世界一を目指すためには、国内だけでの活動では足りないと感じました。

その後、翌年開催の年齢制限がない (A代表) 世界大会の日本代表候補として活動しましたが、落選。この世界大会で日本は2位になりました。しかし、決勝ではアメリカに敗戦。自身が参加すらできなかった大会で、日本は世界一を勝ち取れなかったこと、さらには日本代表の選手は全員日本を活動拠点にしていることなどを考えたときに、自身が世界一を目指す上で国内での活動では限界があるのではないかと感じました。

「次に自分が世界大会に参加するまでに、少しでも北米の選手たちとの差を縮めたい」

そう考えたときに、北米のリーグで彼らと実際にしのぎを削るのがいいのではないかと考え、北米プロリーグでの挑戦に至っています。

日本代表として過去2度の世界大会を経験させていただきましたが、いずれも目標としていた世界一には届きませんでした。世界大会では圧倒的な強さを誇り、アルティメット世界最高峰と言われているアメリカのリーグでプレーすることで、個人としての力を高めるとともに、日本代表が世界一を取るためのヒントを探したいと思い、日々活動しています。

技術と適応能力を更に向上し、経験を積みながら世界で活躍する

「何かに挑戦することは、必ず目の前に立ちはだかる課題をクリアして先に進むこと」だと思っています。

スキル、メンタル、時間、お金、仲間、周囲の反対など、何かに挑戦するには様々な課題が立ちはだかってきます。しかし、だからと言って挑戦を止めるのではなく、クリアするにはどうすればいいか考え、行動を起こすことで、課題を解決し、自身の目標達成に向かって先に進めるのではないかと考えています。

まだまだ「超えた」と言える経験は多くありません。小さなことかもしれませんが、兵庫県で生まれ育った後、大学で上京し、東京で就職。その後、現在はアメリカに拠点を移しているという意味では、少しずつ自分自身の世界を広げる (超える) 経験をしてきたと言えるかもしれません。ただ、これらの経験は自分一人では決して成し遂げられなかったことでした。家族や友人、その他自分と関わってくださる方々のおかげで今の自分があります。これからも周囲の方に支えていただきながらも、挑戦を続けていきたいです。

これからは特に、海外のリーグでプレーする上で、「言葉の壁」「プレースタイルの違い」といった課題を超えていきたいと考えています。

チームメイトや監督とのコミュニケーションは全て英語です。英語が堪能なわけではないので、現在英語の学習をしており、少しずつコミュニケーションが取れるようになってきました。今後はよりスムーズにコミュニケーションをとり、チームに馴染めるようにしたいと考えています。

また、北米のリーグで主力として活躍する上で、日本とのプレースタイルの違いに適応する必要性を感じています。日本はチームのメンバーで素早くパスを回し、豊富な運動量で試合を展開するスタイルが主流です。一方でアメリカは高さや強さといったフィジカルを活かしたプレーが主流で、展開のテンポは日本に比べると少し遅いと感じています。特に渡米後すぐはテンポの違いに苦しみましたが、徐々に適応できていると感じているので、自分の良さを残しながらもアメリカのスタイルに馴染んで、活躍できるようにしたいと考えています。

GO-BEYONDER No.183

アルティメットプレイヤー

仙田凌

1994年12月8日、兵庫県神戸市生まれ。高校まではサッカーのゴールキーパーとして、小さな頃からの夢であるJリーガーを目指して励んでいた。大学進学を機に、友人から誘われたアルティメットサークルがきっかけで、日本代表を目指すことに。現在は、アルティメット世界最高峰と言われるアメリカ・カナダのプロリーグにて活躍中。日本代表として、世界一を目指す。

Instagram:https://www.instagram.com/sendaryo91/

Twitter:https://twitter.com/sendaryo91

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ