GO BEYOND な 人
田中雄太(タナカユウタ)
フットゴルファー
"若手選手との強い結束力が
未来の日本代表を輝かせる"
私はサッカーとゴルフが融合した新興スポーツ「フットゴルフ」をしています。
パターやドライバーといったゴルフクラブに代わり、自らの脚とサッカーボールを使い、ゴルフのルールで競うスポーツです。2017年からは国際フットゴルフ連盟が定めるワールドツアーがスタートし、ワールドランキングも制定されるようになり、日本人選手も多くチャレンジしています。日本では2014年に日本フットゴルフ協会が発足して以降、翌年のオランダでの国際大会参加のために日本代表の選考を行い、アジアカップやワールドカップに参加しています。
私はサッカー仲間からフットゴルフという新スポーツがあって、日本代表の選考会に参加してみないかと誘われたことがきっかけでこの競技をはじめました。軽い気持ちで大会開催の5日ほど前にエントリーをし、急遽サッカーボールを購入、そしてそのまま2015年度の日本代表の選考会であったジャパンオープンに参加しました。2014年に日本フットゴルフ協会が設立したばかりの新しいスポーツと聞いていたので、知識や実力がなくてもいい結果が残せるのではと安易な考えで参加しました。実際はすでに国内大会が何回か開催され、プロ並みの技術力をもった選手達ばかりが参加するハイレベル大会でした。結果は惨敗でしたが、この大会がきっかけとなり、風向きと地形に合わせてコースを読む難しさや、蹴る瞬間の緊張感といったフットゴルフの面白さを体感し、すっかり心を奪われてしましました。このように初めての大会でフットゴルフの魅力を知って以来、国内、海外問わず様々な大会でプレーし、世界各地を転戦する生活を送っています。
また、競技者としての活動だけでなく、フットゴルフの普及活動にも力を入れており、その一環として未経験者むけのフットゴルフ大会を主催するなどの活動をしています。まずはプレーすることで楽しさを知ってもらい、そこから徐々に競技としての奥深さや魅力を知ってもらえたらとの想いから企画をしています。有難いことにこれまで非常に多くの方に参加いただき、年に2回開催のこの大会は毎回盛況となっています。これからもフットゴルフを愛するものとして、このスポーツの普及に多方面から貢献していきます。
成功の喜びと爽快感を求めて前へ
フットゴルフは一見するととても簡単に見えるのに、実際にプレーしてみるとかなりの集中力と技術力が必要なスポーツであるとこがわかります。私自身、元々10年以上のフットサル経験があったうえ、県選抜に選ばれた実績もあったことから、キックやテクニックには自信がありました。しかし、実際にプレーをしてみると他の選手達との実力の差は一目瞭然で、最初のうちは周囲の選手の圧倒的な技術力を前に、悔しい思いをすることが多かったです。
当時の私に不足していたフットゴルフにおける重要なスキルは、ボールの軌道を読み、直径約53cmのホールにカップインさせる正確な強さのキックとコントロールです。私はそのスキルの習得するために、選手仲間とのコミュニケーションやプレーの中からトレーニング方法を学び、当時はまだ確立されていなかった練習方法を模索し、自分のプレーを磨いていきました。
そんなふうにフットゴルフに夢中になるうちに時が過ぎ、気が付いた時には再びジャパンオープンのフィールドに立っていました。この大会では運も味方し、50mほどのロングショットが直接カップインするなど、それまで強化してきた技術を発揮することができ、準優勝という結果を残すことができました。カップインの瞬間の爽快感が今でも忘れられず、もう一度あの感覚を味わいたいという思いが私を突き動かし続け現在に至ります。
個人の強化と若手の育成でフットゴルフ界へ貢献
私の選手としての目標は二つあります。
一つ目はワールドカップで個人優勝をすることです。その目標を達成するために、世界各国で開催される大会に積極的に参加しています。競技を始めてから4年で、20回以上海外の大会に出場してきました。出場した大会ごとに、毎回違った発見と成長があり、海外での経験の一つ一つが自分の糧になっているように感じます。
二つ目の目標は日本代表チームとして団体でのワールドカップ優勝です。日本代表として他の代表選手達と過ごす中で、日本代表チームの仲の良さを常に感じています。お互いを理解し、信頼し合える関係性が日本代表チームにはあり、それが日本チームの強みであると思います。しかし、世界との実力の壁はまだまだ大きくワールドカップ制覇の夢を叶えるには、個々の努力とさらなる結束、有力メンバーの台頭が重要となります。
今後、フットゴルフ界を牽引していくのは私たちよりも若い世代であり、彼らが力をつけて日本代表を盛り上げていく必要があります。ですが、新興スポーツであるがために、若手選手の多くが手探りで練習をしているのが現状です。そんな環境の中でも、少しでもうまくなろうと努力を続けている彼らにできることとして、私は自分が学び編み出したトレーニング方法や、蹴り方、コースマネジメントを彼らに還元することを積極的に行っています。若手選手たちのひたむきな姿から力をもらうこともあり、私も成長させてもらっているように感じます。いつかこの動きが日本フットゴルフ界の文化として定着し、その相乗効果で日本代表が更に強くなり、ワールドカップを制覇する日が近い将来必ず来ると信じています。
フットゴルフを楽しむのに年齢、性別、経歴は関係ありません。互いにコミュニケーションを取り合って盛り上げていくことで、高めあっていくことができます。私はこれからも世界を舞台に多くの大会で挑戦を続け、必ずやワールドカップでの個人優勝を成し遂げます。そして、自分の経験を広めることでフットゴルフに貢献し、団体優勝の夢も現実のものにします。
GO-BEYONDER No.181
フットゴルファー
田中雄太
1984年6月4日生まれ。フットゴルフ競技歴4年。競技開始2ヶ月にして日本代表に選出されて以降、様々な世界大会に出場している。2015年にジャパンオープンで準優勝をはたし、2017年の同大会では優勝、日本ナンバーワンプレイヤーとなった。現在もフットゴルフ日本代表として国際大会に参加する傍ら、若手育成やフットゴルフの楽しさを広めることを目的とした国内大会の運営にも尽力している。
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