GO BEYOND な 人
生駒淳(イコマジュン)
ジェットスキーヤー
"世界一の表現力とスピードを武器に、
ベストリザルトを超えていく"
私はプロジェットスキーヤーとして「フリースタイル」と「レース」の2種目に出場しています。
フリースタイルは水上をマリンジェットに乗って跳んだり、跳ねたり、走ったりと自由にパフォーマンスをして表現力を競う水上のフィギュアスケートのような競技です。一方、レースはスピードの限界に挑む競技で、制限時間内に何周できるかを競う耐久レースと、水面に設置されているブイを左右に回航しながら競うクローズドコースレースの2つがあります。フリースタイル、レースのどちらもスピード感と、ダイナミックな走りが魅力で、あまりの疾走感に圧倒されること間違いなしです。
20代の頃、サーフィン仲間の中にジェットスキーを所有していた友人がいたことがきっかけでこの競技に出会いました。当初は自分よりもパワーのあるマシンに身体を持っていかれないように、揺れ動く水面に動きをあわせながら操作することに苦戦しましたが、それに慣れてくると自由に走る開放感を感じることができ、ジェットスキーの虜になってしまいました。あまりにも楽しかったので、ボートに乗って技をしている様子を動画投稿サイトに都度アップしたところ、偶然その動画を見た業界関係者から「大会に出てみては」と声がかかり、それがきっかけとなり本格的にジェットスキーヤーとして活動することとなりました。そして、初めて出場した大会で、優勝という予想外の結果を残すことができ、世界各地で開催される大会にも呼んでいただくようになりました。
早いうちから経験を積むことができたことは、恵まれた環境のおかげであり、家族の協力があってのことだったと思います。
レースチャンピオンを目指しスピードの限界に挑戦
当初はフリースタイルの選手として国内の大会に出場し、多くの大会でチャンピオンとなりました。その後、国際大会など海外の大会にも出場をするようになり、妻と一緒にベルギー、ポルトガル、モロッコ、マレーシア、ドバイなどを巡り、世界のフリースタイル界で次々に優勝する中で、さらなる目標ができました。それは、スピードを競うレースでもチャンピオンになり、フリースタイル、レースともに世界トップの選手になるということです。
元々、速いスピードで走ることに対する恐怖心がなく、スピード全開の走りをしてみたいという思いがあったのも理由の一つですが、何よりも、フリースタイルで極めたマシンを操る技術力がスピードの限界に挑むレースでも通用するのか、自分の力を試してみたかったのです。
フリースタイルとレースは大きくカテゴリーがことなるため、使用するマシンも違えば、操作技術も異なります。競技の転向はもちろん、2つの競技で戦うことなど簡単でないことは理解していましたが、挑戦心は抑えられず、レースの出場に向けてそれまでにフリースタイルで獲得してきた賞金でレース対応のマシンを調達し、大会出場に向けてトレーニングを開始しました。
そして、翌年はじめて出場したレースで、初優勝を飾ることができたことで、自分の力がレースでも通用することを知り、さらにレースの魅力にはまっていきました。もっと強くなって、もっと高見を目指してみたい。限界を超えてみようと思うようになったのです。現在はレースに参加するために、ドバイやフィリピン、マレーシア、タイなど海外と日本を行き来する生活を送っています。
競技を通じてできた人との繋がりを大切にしたい
海外の大会への参加がメインになってくると、徐々に海外選手達との交流も増えてきました。ジェットスキーを始めたばかりの頃は、まったく話すことのできなかった英語も、海外遠征が増えたことで自然と話す機会が増えたことや、意識的に学習したことで、徐々に簡単な会話であれば話せるようになりました。国によっては英語すら通じない地域もありますが、そういう場所では現地の言葉を何か一つでもいいから覚えて帰るようにしています。そうすることで、海外選手達との交流が図れ、スポーツを通じて人と人との繋がりを広げていく事ができるように感じています。彼らとコミュニケーションをとることで情報交換もできますし、海外遠征の楽しみも増えました。
私がこの競技を20年以上も続けることができたのは、応援してくれる家族や友人をはじめ、共に戦う海外の選手達など沢山の人の支援があったからです。
中でも特に、先輩の存在は自分にとって大きいように感じています。大会の時は自分の走りに集中するために時間を使う選手が多い中、私のライディングを指導してくださり、励ましの言葉をくださいます。そんな姿を見るたびに、自分も誰かにとってそうゆう存在になりたいと感じます。
尊敬されるような存在になるためには、選手としてだけではなく、人間性が大切です。強い信念を持ち、謙虚に努力することで、尊敬に値する選手として磨かれていくのです。私もそんな存在になるために、この先どんな壁にぶつかったとしても、諦めることなくひたむきに挑み続けていきたいと思います。限界を決め付けずに挑戦し続け、ベストリザルトを更新し続けていきます。自分自身を常に追い越していくことこそ、応援してくれるすべての人にとって一番の恩返しになると信じこれからも世界中の水上で挑戦し続けていきます。
GO-BEYONDER No.174
ジェットスキーヤー
生駒淳
1973年7月23日生まれ、東京都出身。YAMAHA WAVE RUNNER SINGHA JAPAN所属。競技歴8年。ジェットスキーヤーとして水上での表現力を競うフリースタイルとスピードを競うレースの2つの競技を行っている。2015年にはJJSF全日本選手権においてシリーズチャンピオンとなり全日本制覇を果たすなど、数々の大会に出場し功績を残している。現在も世界トップのジェットスキーヤーとして、世界各地で転戦を続けている。
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