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GO BEYOND な

黒川太郎(クロカワタロウ)

"U12・U15 ジャパン・セレクト・アイスホッケーチーム監督 /
TK HOCKEY代表"

日本アイスホッケーの若き侍たちが
世界へ羽ばたくために

私は「世界で通用する日本のアイスホッケー」を目標に、アイスホッケー選手、指導者、そして海外での留学経験を活かし、ジュニア選手の育成に取り組んでいます。

女子アイスホッケー日本代表がスマイルジャパンとして平昌五輪に出場し、世界のトップ10に入るなど認知度も高まってきた現在でも、男子チームは世界のトップクラスの国々とは大きな差があり、自国開催の長野五輪以降、オリンピック出場すら果たせていないのが現状です。ジュニア世代のアイスホッケーはというと、U16になるまでは代表チームもなく選手たちは海外遠征の機会がほぼないような環境に置かれています。

そんな中で私が指導をしているU12 (小学生) とU15 (中学生) のアイスホッケー日本選抜チームの「ジャパン・セレクト」は、海外の大会にも果敢に挑戦し、強豪国での大会や遠征、現地での生活を通して選手の育成に取り組んでいます。近年では毎年2月にカナダのケベック州にて開催されるU12の世界最大規模の世界大会の「ケベック・ピーウィー・インターナショナル・ホッケートーナメント」への参加打診があったことをきっかけに4年連続で出場をしており、毎年世界の強豪チームに挑戦を続けています。

2018年からは、ヨーロッパ遠征を実施するなど、北米のみならずホッケー先進国にて技術の強化、育成に取り組んでいます。

▼ U12:ケベック・ピーウィー・インターナショナル・ホッケートーナメント【カナダ・ケベック州】

2015年
インターBディビジョン【Inter B】(4部) ベスト4
2016年
インターBディビジョン【Inter B】(4部) ベスト4
2017年
インターBディビジョン【Inter B】(4部) ベスト8
2018年
ダブルエー・エリートディビジョン【AA Elite)】(2部) ベスト16

▼ U15:U15 フィンランド・スプリング・ライオンズカップ【フィンランド】

2018年
3位 (銅メダル)

夢に挑む姿は次の世代へ引き継がれていく

私がジャパン・セレクトの指導をはじめて、初の世界大会参加となった2015年のケベック・ピーウィー・インターナショナル・ホッケートーナメント以来、毎年、日本のジュニアチームが進化を遂げていく姿は世界を驚かせています。今年のゴールデンウィークにフィンランドの大会に参加した「U15 フィンランド・スプリング・ライオンズカップ」では、アイスホッケー強豪国であるスウェーデンやフィンランドのチーム相手に初出場ながら見事銅メダルを獲得するほどの成長を遂げており、日本国内だけでなく現地メディアからも注目をされるようになりました。

チームの発足当時はまだ小学生だった一期生が、今では高校生となり、U16日本代表やU18女子日本代表にも選出されるようにもなるなど活躍を続けています。ジャパン・セレクトでの経験によって、海外に興味を持つ子どもたちも増え、これまでに6名の子どもたちが海外でプロ選手として活躍する夢を追い求め海を渡り、アイスホッケーの強豪国であるカナダの中学や高校にアイスホッケー留学をするなど、選手たちが自発的に世界へ挑戦する姿がとても顕著になってきました。

私自身、大学卒業後に渡ったカナダでの経験が今の自分に大きく影響を与えてくれていますし、だからこそ、彼らにとっても必ず世界での挑戦が今後の人生において貴重な経験になると信じています。指導者として彼らがスポーツに夢中になり、夢を追求していくきっかけを提供できたことが誇らしくもあり、彼らの活躍が私だけでなく世界トップレベルを目指して奮闘する子ども達にとっての励みになっています。

困難に挑み乗り越えた先で、世界で戦う力を手にする

世界と戦っていく中では、たくさんのプレッシャーと予想もしなかったような困難に直面し、自分自身で考え解決する力が求められるようになります。私は選手たちにとって、この「自立」が重要であると考え、対応力や社会を生き抜く力の育成を重要なテーマとして取り組んでいます。特に選手たちの成長が感じられる取り組みとして、世界大会参加時に海外に滞在する約20日間の地元家庭でのホームステイ生活があります。言葉も文化も考え方も違う環境の中、上手く伝わらないもどかしさを感じながらコミュニケーションをとり、強化合宿と大会への参加で疲れがある中、自分自身の意思を伝えなければいけませんし、自身でスケジュールの管理を行なわなければいけません。そんな困難な環境で子どもたちはチャレンジを繰り返し、失敗をしながら達成感を感じ、自立していきます。

日本での生活は何もかもが便利で、コンビニやスーパーに行けば簡単に欲しいものがいつでも手に入ります。電車も時間通りに来ますし、落とし物すれば届けてくれる人もいます。しかし、海外ではなかなか想定した通りに物事がスムーズに進まないことが多くあり、憤りや悔しさを感じることが多々あります。

アイスホッケーも同じように予測のつかない展開に合わせ、瞬時に判断し困難に対応する力が求められるスポーツです。対応力や社会を生き抜く強い力は、便利な環境で暮らしている限りは身に着けることが出来ません。それはまさに「GO BEYOND.」の定義のように、国境を越え、制約を超え、新たな成長に向かって挑戦していくことと同じです。心地のいい場所から一歩踏み出すことで、子どもたちは選手としてだけではなく、一人の人間として大きく変わっていくことが出来るのです。

海外では相手チームの子どもたちや地元の子どもたち、ホストファミリーの皆さんや地元在住の日本人コミュニティーの皆さんなど、たくさんの方々と出会い、交流し、多くの刺激を受けることになります。チームビルディング (チーム作り) の活動やミーティングを重ね、周りとの関係づくりを学び、人としてチームとして大きく成長をしていきます。

私は指導者として、日本のジュニアチームを海外大会で優勝させるだけでなく、オリンピックをはじめ世界で戦える選手を生み出せるように力を尽くしていきたいと思います。そして、アイスホッケーをしている日本の子ども達にとって、「ジャパン・セレクト」が憧れの存在になれるように努めていきたいと思います。

GO-BEYONDER No.156

"U12・U15 ジャパン・セレクト・アイスホッケーチーム監督 /
TK HOCKEY代表"

黒川太郎

幼少期に始めたアイスホッケー競技の選手、指導者、そして海外での留学経験を活かし、U12・U15日本選抜アイスホッケーチーム「ジャパン・セレクト」の指導およびTK HOCKEYの代表として、国内外のアイスホッケー選手たちの育成に取り組んでいる。2018年5月に行われたU15フィンランド・スプリング・ライオンズカップでは世界の強豪チームを相手に3位と好成績を残している。出身者のなかにはU16日本代表やU18女子日本代表にも選出される選手もいるなどアイスホッケー界の未来を担う選手の育成に尽力し、世界レベルを目指す選手たちと共に日々奮闘を続けている。

 

Facebook【ジャパン・セレクト】:https://www.facebook.com/japanselecthockey/

Facebook【TK HOCKEY】:https://www.facebook.com/tkhockey61/

Twitter:https://twitter.com/HockeyJPCAN

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