GO BEYOND な 人
馬場亮太(ババリョウタ)
プロモトクロスライダー
荒れた道、過酷な道、
どんなコースも力に変えて世界を駆ける
モトクロスは山間の起伏や傾斜などを利用して作った未舗装の周回コースで、順位を競うオートバイ競技の一つで、スターティングゲートを使用した30台横一斉のスタートや斜面を勢いよく走り抜けるコーナーリング、跳ねたり飛んだりする三次元的で派手なジャンプが特徴です。路面のコンディションによって複雑な要素をもつようになるコースも魅力の一つでもあり、周回していく中で表情を変えるコースを勢いよく走行するダイナミックで豪快な選手たちの走りは、見る者の興奮を誘います。
私がモトクロスを始めたきっかけは、元ワークスライダー (メーカー直属のレーシングチームのレーサー) であった父の影響で、物心付いた時には排気量の小さいモトクロスバイクで河川敷を走るようになっていました。地元の荒れたコースでライディングの基礎を父から学び、徐々に身につけていき、中学生になったころには本格的に地方選や全日本の大会に出場することができるようになるほど力がついていきました。
その後もジュニアクラス、国内B級、そしてA級と順当にステップアップし、2014年度の全日本国際B級クラスでチャンピオンを獲得し、2015年度からは国際A級として全日本選手権に参戦しています。
2016、2017年は全日本選手権だけの参戦にとどまりましたが、2018年度はタイ国内で開催されているスーパークロスシリーズにも参戦し、全日本選手権とあわせて二つのシリーズ戦でレース活動を行なっています。
アメリカ、タイでの挑戦が海外へ視野を広げるきっかけになった
ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキと主要オートバイメーカーの生産地である日本ですが、実際のところ競技としてのモトクロスの認知度やレベルはヨーロッパやアメリカなどの国々と比較するとまだまだ低く、レース人口も少ない現状です。
日本でトレーニングを重ねレース経験を積むことも重要ではありますが、いつか海外で、特にモトクロスの本場で自分のスキルを磨き、モトクロスをとことん追求してみたいと思っていました。
2014年度の国際B級クラスのレースでチャンピオンを獲得した年のシーズンオフに、オートバイメーカーであるホンダさんが行なっている若手ライダーの育成を目的としたアメリカでのキャンプに呼んでいたく機会があり、かねてからの希望を叶えることができました。
アメリカでの約二ヶ月にわたるキャンプ期間中、私はモトクロスに適した気候の中、毎日違うコースでトレーニングを行い、他の参加ライダー達と切磋琢磨しながら、とことんモトクロスだけに集中し、自分のライディングを追求しました。
競技人口も多いアメリカでは、平日でさえもたくさんのライダーがコースで練習を行うので、競う相手も日本よりも何倍も多く、他の選手からも常に学ぶことが多くあり、創造を超えた刺激と充実した環境がありました。このアメリカでの経験が今の私の原点になっているように思います。
また、2018年度からはタイで行なわれているスーパークロス選手権にも参戦しています。タイはアメリカのようにレーシング大国ではなかったのですが、自ら参戦したいと希望し手を上げました。モトクロス先進国に比べるとやや遅れているタイ国内でのレースは、「きっと今後のライダー人生の中で貴重な経験になる」と考えたからです。
私の期待通り、タイでのレース参戦からは学ぶことが非常に沢山ありました。完璧とはいえないバイクや40℃を越える気温の中でも、言い訳をせずに優勝を目指して戦うレースは過酷ながらも非常にやりがいがありました。技術はもちろんのこと、アスリートとして大切にするべきマインドというものをこのレースから学ぶことができ、貴重な経験になったと感じています。
このような海外での挑戦を通じて私は自分自身の成長を感じることができ、経験したことのない新しい環境に身を置くことが自分を進化させる方法なのだと知ることができたのです。
本場アメリカで通用するレーサーになるために、世界への挑戦は続く
2017年度のシーズンが終了した頃から、日本よりもレベルの高いアメリカでレース活動するという目標を抱くようになり、その目標を達成する為には、何をしなければいけないかと自分なりに模索しました。
考えた末にたどり着いた答えは「まずは、日本でタイトルを獲得し、国内のオートバイメーカーのサポートを受けながら海外へ挑戦する切符をつかむ」という方法でした。
この方法がステップアップをしてく上では自然な流れであると考え、現在はこの道筋に沿って挑戦を続けています。まずトレーニングとして、2018年度のシーズンが始まる前に渡米し、約一カ月半もの間、ヨーロッパで数多くのチャンピオンを輩出したトレーナーのスクールに参加しました。異国の地で他の強豪選手、優秀なトレーナーのライディングを生で見て、多くの指摘をそれぞれの視点からもらうことにより、日本ではあまり浸透していないライディングスタイルなどを習得し、国内にいては学ぶことが出来なかったことを学び取ることができました。現状維持を続けるのではなく一回りも二回りも成長していくためには、自ら新しい環境に身を投じて、自分自身の殻を破り、様々なことにチャレンジすることが大事なのだと改めて感じました。
2018年度のタイの国内シリーズ参戦でも、新たな環境で自分を追い込み、果敢に挑戦することにより、自分を成長させることができたように、新たな環境で自分を鍛えることが私の目標達成には必要不可欠です。モトクロスの本場アメリカで認められ、モトクロス界で頂点を極めていくための挑戦は始まったばかりです。
これからもモトクロスバイクという競技と向き合い、積極的に海外に挑戦することで、ライダーとしても人としても成長していきたいです。
GO-BEYONDER No.147
プロモトクロスライダー
馬場亮太
1997年7月9日、静岡県出身。競技歴は16年。5歳のころ元ワークスライダーであった父親の影響でモトクロスバイクに出会う。中学生から本格的に全日本の大会に出場し、17歳で全日本国際B級クラス優勝。同じ年のシーズンオフにアメリカで行われた若手選手育成キャンプに参加し、海外で経験を積むことの重要性を知る。競技人口の大きい国々でレース経験を積み成績をのこすことを目標に、海外での転戦を続ける。
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