GO BEYOND な 人
浦本修充(ウラモトナオミチ)
レーシングライダー
多くの経験を積み、様々な壁を乗り越えて、
目指すはロードレース界の頂点!
7歳の時に近くの公園でポケバイに乗っている同世代の子供をみて「自分も乗りたい!」と思い、父親に頼み込んで、サーキットに連れて行ってもらったのがきっかけでこの競技を始めました。
時間があればサーキットに行くことが増え、気が付くとプロレーサーになることが夢になっていました。自分がどうすればプロレーサーになれるのかを常に考え競技に打ち込んでいるうちに上達し、2009年14歳の時に全日本ロードレース選手権にデビュー。プロレーサーとしての人生が始まりました。プロレーサーとはいえ、まだまだ新人。自分を鍛え、明確な成績を残さなければトップチームの目に留まることもなく、それでは次のステージへステップアップすることもできないと、とにかく練習に打ち込みました。
全日本選手権へ参戦を開始した当初は最軽量カテゴリーのGP125。ちょうど自分の身長も伸び始めて、体重が大きく影響することから苦労をしました。ただ、その苦労を乗り越えなければステップアップすることもできないと、歯を食いしばりライディングスタイルを変えてみたり、マシンのセッティングを変えてみたり、0.1秒でも早く走れるように様々なことを試しました。
そしてこの経験が今となっては自分にとって凄くプラスになっているように思います。
2016年からは現在も所属しているTeam KAGAYAMAに移籍をし、レースを続けています。移籍初年度はJ-GP2クラスに参戦。開幕から4連勝をした同時にタイトルを獲らなければならないプレッシャーが重くのしかかってきました。
“レースを勝ちに行くのか?”それとも“タイトルを獲りに行くのか?”
レースに勝ちたいけれども、レースを勝ちに行くと言うことはそれだけ次のレースに対するプレッシャーとリスクも増えます。万が一、ノーポイントのレースでもあると、シリーズタイトル獲得にブレーキがかかります。しかしそんな状況の中で、「今の自分の仕事はタイトルを獲ることだ」と割り切って考えられるようになり、シーズンの後半戦は苦労しながらも、最終戦でシリーズチャンピオンのタイトル獲ることができました。この経験も自分にとって大きなプラスになったと思います。
2017年は参戦カテゴリーを全日本最高峰クラスであるJSB1000にステップアップ。同時に世界選手権に向けた活動の一つとして、RFMEスペイン選手権に3戦のワイルドカード参戦。2018年はそのスペイン選手権にフル参戦をしています。
言葉を超えて伝わる気持ちが、国を超越した関係性を生み出した。
レースで活躍するために一番大切なことはメカニックやエンジニアとのコミュニケーションです。ずっと日本で育ち、日本でレースをして来た自分にとって、英語で会話をすることは決して容易ではなく、不安なことでした。
ましてや、フランス人やスペイン人のチームとなると、彼らにとっても英語は母国語ではなく、英語での会話でもお互いに本当に通じているのかわからなかったりしていました。
チームで連携して0.1秒の戦いをするわけですから、コミュニケーションはとても大切です。フィードバックを的確に出来なければ、それはすぐに成績にも反映されます。
スペインに行った当初は苦労しました。自分が伝えるフィードバックがメカたちに伝わってなかったり、メカたちが自分に伝えてきたことを、まったく違うように捉えてしまったりして困りました。しかし、自分ももちろんそうですが、彼らも完璧な英語ではなかったことに気がつきました。
自分はできるだけ、完璧な英語を話そうと努力をしたのですがそれは間違いでした。コミュニケーションというものは、完璧な英語を話すということではなく、文法が間違っていても、彼らが分かりやすい言葉 (英語) を使うということだと気づいたのです。時には手振り身振りで伝えるようになり、言葉ではなく伝えたい思いの伝達が可能になりました。大事なのは英語を完璧に話すということではなかったのです。それからはメカたちとも意思疎通ができるようになり、いまでは阿吽の呼吸でレースウィークが進むようになりました。この経験はとても勉強になりました。
レースをやっている以上、目指すは世界チャンピオンです。これはとても大きなことであり、その目標を達成するには、チームメンバーとのコミュニケーション以上の壁をいくつも超えて行く必要があります。決して簡単なことではないですが、着実に小さな壁を超えて、世界の頂点を目指します。そして、その世界の頂点に立つことが自分にとっての「GO BEYOND.」だと思っています。
みんなの応援があるから挑戦できる。
応援に応えるために続ける挑戦。
全日本ロードレース選手権で走っていた時に日本人で構成されたチームでも世界選手権に出場したことがありましたが、海外に行き世界選手権の雰囲気やレースのレベルの高さなどについていけなかったことがあります。その時は、他の海外チームに憧れるとか、技術に感心するとか、そのような感情は湧かず、ただただ悔しいだけの経験でした。
全日本でタイトルを獲っても、世界には自分よりも上のライダーがごろごろいると言うことを痛感しました。そして、それは世界挑戦したいという気持ちをさらに強くしてくれました。そのためにはどうしたらいいのかを考え、実現のためにどうすればいいのかをチームや関係者、そして海外で活躍した先輩たちにも話しを聞いたりもしました。
そして、世界へ挑戦する第一歩として2018年のスペイン参戦を決めました。スペインでは大人気のオートバイレース。F1よりも人気があると言われ、世界選手権を見ても多くのスペイン人ライダーが活躍をしています。競技人口も多いスペインへ参戦をすることによって、世界に近くことができると思っています。
自分のチャレンジはまだ始まったばかりです。そして世界選手権へのフル参戦が目標でもありません。
自分にとって、世界選手権のタイトルを獲ってはじめて挑戦に勝ったと言えるでしょう。だからと言って、スペインに行くのはなにかを学ぶためだけに行くわけではないと思っています。多くの人や企業の応援があって、スペイン参戦が可能になっています。その恩返しになるのは、参加することではなく、世界チャンピオンを獲って始めて成し遂げることだと思っています。なので、それまではチャレンジし続けます!
GO-BEYONDER No.146
レーシングライダー
浦本修充
1994年7月24日、東京都生まれ。幼少期からバイク競技に興味を抱き、2009年14歳の時に全日本ロードレース選手権にデビューを果たす。レーシング界のトップチームTeam KAGAYAMAに移籍後J-GP2クラスに参戦し、開幕から4連勝を記録。2017年は参戦カテゴリーを全日本最高峰クラスであるJSB1000に昇格。世界各地で行われるレースに参戦し競技経験と実力を強化し続けている。
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