GO BEYOND な 人
半井重幸(ビーボーイ シゲキ)
プロブレイクダンサー
浪速のダンサーが世界で踊る!
共通言語はブレイクダンス
大阪生まれのプロブレイクダンサーです。7歳の時に姉の影響で、最初は習い事感覚でブレイクダンスを始めました。自分が始めた頃はそんなにキッズブレイクダンサーがおらず、キッズのバトルもありませんでした。大人の中に混ざってバトルをするしかない環境だったのです。そのため優勝するという気持ちよりも、練習の成果を見せるという感覚でバトルに臨んでいました。その中で自分が踊るとお客さんや他の出場B-Boyが本当に沸いてくれました。その事で頑張ることが楽しくなり、ドンドン夢中になっていきました。
今は、私のころに比べ何百倍もキッズブレイクダンサーが増えてびっくりしています。大会に出てもキッズだけでチームを組んでいる子達もよく見ますし、キッズだけで大会が成り立つようにもなりました。私の時代には全く考えられなかったことで、素晴らしいことだなって思います。
その後私は14歳でTeam G-shockに加入させていただきました。ブレイクダンスの世界で個人の選手がスポンサードされる事は本当に稀なことで、今まででも数名しか居ません。自分を選んでいただけた事は本当に嬉しく、それからは国内、国外でゲストバトラーや審査員、WSなどの活動をさせていただいています。見た人にB-Boyって良いなって思ってもらえると、これからのブレイクダンスの業界にとって良いと思っているので、そういう意識で頑張っています。
小学生から世界大会へ グローバルな感覚を養う
11歳の頃から本格的に海外の大会に挑戦することになりました。海外のB-Boyは体格が違うし、時差などもあるので国内とはまた違った緊張感がありました。またその頃から海外の大会に招待していただくことも増えました。最初の頃の招待バトルは「こいつどんなもんなんだ!?」という敵対心の目もあったので、とにかく目の前のバトルで勝つことが大きなチャレンジでした。納得できない負けもたくさんあり、踊り方で悩んだ時期もありました。
海外で勝てるようになってからは、ただ勝つだけではなくて良いパフォーマンスして、見ている人を「あっ!」と言わせてやろうという意気込みも持つようになりました。
中学生の時から一人で海外遠征に行っているので、コミュニーケーションを取る事はダンスと変わらないくらい大事にしています。一人なのでオーガナイザーとのやりとりもしますし、スケジュールの管理も自分で行います。
小学生の頃は英会話スクールに通って、英語は本当によく勉強しました。英語が喋れるようになると多くのコミュニケーションが取れるので、より海外が楽しくなりました。
現在はスペイン語も勉強しています。ダンスはもちろんですが、こういった生活面もチャレンジの一つだと思っています。
バトルの外では大切な仲間 同じ競技をする者だけの仲間意識
B-Boyはすごく面白くて、B-Boyというだけで何年も連れ添った仲間みたいに仲良くしてくれるんです。子供の頃から本当に素晴らしい経験をしてきました。海外でも様々な土地の美味しいものを食べさせてもらったり、綺麗な景色を見せてもらったり。
でもバトルの時はバッチバチです。ここが面白いですよね。昨日はあんなに仲がよかったのに、今日はバッチバチに対抗してきたりするんです。でもそこは勝負なので自分ももちろん本気です。
私は「バトルに勝つ」ということはもちろんなのですが、意外とこういうところにブレイクダンスの魅力を感じています。ただ一つ「B-Boy」というだけで言葉の壁さえも超えて仲間が増えていく。そこにライバルと呼べる仲間達がいます。B-Boyと言うかダンス自体がそうなのかもしれないですし、Hip Hopが仲間を大切にするカルチャーなんだと思っています。
自分が海外でたくさん良くしてもらうので、海外のB-Boyが日本に来る時は自分もケアします。よく大阪観光に連れて行ったりしますよ。通天閣とかたこ焼きとかが喜ばれます。もちろん遊んでからは一緒に練習もします。彼らとまたバトルして勝ちたいですし、見ている人をびっくりもさせたいです。
そしてオリンピックへ 初めて国を背負う緊張感
2018年はなんと言ってもブレイクダンスがユースオリンピックになります。ブレイクダンス業界で誰も経験していなかったことが今、初めて起きようとしています。
先日台湾でアジア大陸予選がありました。今までのブレイクダンスの大会の中でもかなりムーブ数が多く、全部で15ムーブもしました。普通のバトルは優勝しても10ムーブもしなかったりするので相当な数です。次は5月20日に世界選手権があります。ここで優勝しなければ、ブエノスアイリスでのユースオリンピックに出場さえ出来ません。今までの大会に比べてかなりハードルが高いです。またルールも今までと違い、競技化されてる部分があるので従来のバトル運びではダメです。今まで誰も経験することのなかった大会ですので、相談できる相手もあまりいません。
2018年5月の世界選手権で既に今までと全然違う規模感ですし、メディアなども従来のブレイクダンスの大会ではなかった数が来ます。今までに何度も記者会見などがありました。記者会見のあった大会なんてRed Bull BC Oneくらいだったので本当に珍しいです。それにドーピング検査などもあるらしいですし…。私たちの業界でドーピングなんて気にした事ないですし、違法なものを使わなければ大丈夫って思ってました。だから関係ないやくらいの感覚というか。でも本当のドーピングって風邪薬を気にしたりしないといけないし、大会当日は海外の人が手渡す飲み物を受け取ったらダメとか聞いたりして、精神的に大変だと思います。
日が経つに連れてこれがオリンピックというものなんだって感じています。初めて国を背負って戦うという感覚です。新しいプレッシャーがすごいです。それが好きなんですけどね。負けないですよ!
私の中で海外活動で「GO BEYOND.」とは、海外という新しい場所で訪れる新しい自分のプレッシャーを超えていくこと、ブレイクダンス特有の仲間意識で言語の壁さえも超えて仲間が増えていくこと。この2つです。
・B-Boy=ブレイクダンスをする人の事
・Red Bull BC One=Red Bullが主催するブレイクダンスの世界大会
Team G-shock、Bboy World Asia、K.A.K.B.
GO-BEYONDER No.145
プロブレイクダンサー
半井重幸
2002年3月11日、大阪府出身。7歳でブレイクダンスを始める。めきめきと実力をつけ、11歳からは海外の大会にもチャレンジするように。14歳には国内では数例しかない、個人でのスポンサードを受ける。今は選手としてだけでなく、大会の審査員なども務めている。直近の目標はブエノスアイレスで開かれるユースオリンピックへの出場。
Instagram:https://www.instagram.com/bboyshigekix/
Facebook:https://www.facebook.com/shigekixnakarai.shigeyuki