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GO BEYOND な

古野慧(フルノサトシ)

スキークロス選手

けがを乗り越えて世界の大舞台へ!

現在、私はスキークロスレーサーとして、ワールドカップの出場、そして2022年の北京オリンピックの出場を目指して活動しています。

スキークロスという競技は「雪上のモトクロス」とも呼ばれていて、ジャンプやコーナーなどがコースを4人が同時にスタートしてレースをするという競技です。

16歳から本格的にスキークロスをはじめ、2016年~2017年シーズンは年代別世界ランクで2位となり、あと一歩でワールドカップに出場できるところまできました。来シーズンはワールドカップに出場し、世界の強豪選手と対等に戦えるように頑張っていきたいと思います。

私は新潟県出身で、小学1年生の頃から、夏はBMX (バイシクルモトクロス)、冬はアルペンスキーという二刀流で競技に取り組んでいました。

BMXというのは、ジャンプ台やコーナーのあるコースを8人でレースをする競技で、小学4年生の時に年代別ジャパンシリーズで総合優勝し、世界選手権に出場しました。そして、小学6年生の時に世界選手権で入賞することができました。

また、アルペンスキーでは、地元のクラブチームに入り、ジュニアオリンピックなどの全国大会に出場して、BMXと同じように力を入れて頑張っていました。

スキークロスに初めて出会ったのは、小学4年生の時で、BMXとアルペンスキーの両方の要素が詰まったスキークロスに魅了され、自分にも向いている競技だと感じ、スキークロスでオリンピックに出場したいと思うようになったのです。

スキークロスという競技は16歳にならないと公式レースに参加できないので、中学生の頃は、まだBMXとアルペンスキーの両方とも活動していました。

本格的にスキークロスを始めたのは高校に入学してからで、ヨーロッパや北米で開催されるレースに参加するようになりました。初めて出場したノースアメリカンカップで3位になり、その年の世界ジュニア選手権に出場することができたのです。ところが、出場はしたものの、ヨーロッパの強豪選手にまったく歯が立たず予選敗退。とても悔しい思いをしました。

そこで、その悔しさをバネに、それまで以上に頑張ってトレーニングをしたところ、翌年にはナショナルチームに選出されるまでになり、世界と戦えるまであと一歩というところまで成長することができたのです。

2021年
世界選手権Idre大会 29位
2020年
North American Cup 5位
World Cup Arosa大会第1戦 16位
World Cup Arosa大会第2戦 13位
2019年
FIS Jr.選手権優勝
冬季ユニバーシアード7位
全日本選手権2位
2017年
Sir Sam's FIS 3位
カナダ選手権13位
世界ジュニア選手権出場
ヨーロッパカップ15位
2016年
ノースアメリカンカップ3位
カナダJr.選手権優勝
世界ジュニア選手権出場
2017年 以下アルペンスキー
インターハイGS9位
インターハイSL10位

世界で戦うために見に付けるもの

2017年、私はヨーロッパでトレーニングを行ってきました。10月からフランスでアルペンスキーの技術を磨き、11月からはオーストリアに拠点を移してスキークロスのコースでトレーニングをしました。

毎年この時期は、世界各国の選手がオーストリアでトレーニングをします。もちろん私と同じコースでトレーニングをするので、強豪選手の技術を参考にするいい機会になります。

ところが、そういった選手は仲の良い選手や同じ国の選手同士とのトレーニングを優先するので、日本人の私と一緒に滑ろうという選手はほとんどいません。スキークロスは4人同時に滑ってレースをするので、レース中の選手同士の「駆け引き」がとても重要です。世界の強豪選手たちと対等に戦うためには、そういうレベルの選手と一緒に滑って「競い合う」という経験が必要不可欠になります。そして、その経験を積むために、外国人選手たちと仲良くなってトレーニングパートナーになることが大切です。

しかし、私は英語やドイツ語を上手に話すことができず、外国の選手とうまくコミュニケーションが取れません。そして、このままでは「競い合う」という経験をするチャンスが増えていかないということに気付き、語学力の必要性を痛感しました。

また、スキークロスは日本ではまだまだマイナーな競技なので、競技人口が少なく、レースのトレーニングをするためには海外へ行くしかないのです。

私が本格的に海外レースに参加してから2018年で3年目のシーズンになりますが、1年目は先輩やコーチの方たちと一緒に遠征して、ホテルの予約やレースエントリーの仕方、レース会場の移動に使う交通手段の選択など、いろいろな事を学びました。

2シーズン目になると、自分一人や選手だけで遠征する機会が増え、会場を移動する時の飛行機チケットの手配やレースエントリー、ホテルの予約を自分でしなければならなくなります。初めは、なかなか環境に慣れず、とても不安でしたが、遠征を乗り切ると「懸命に行動すれば何とかなる」という自信がつきました。

また海外での生活を通じ、物事の考え方や捉え方、効率化という点で非常にいい経験をすることができました。これからもいろいろと改善しながら、レース転戦がしやすい環境を作る工夫をしていきたいと思います。

大怪我を乗り越えて、より強く!より速く!

私は、2017年の12月にフランスで開催されたヨーロッパカップに出場した時、レース中に転倒してしまい、前十字靭帯断裂という大怪我を負ってしまいました。これほどの重傷は初めての経験で、それ以降のシーズンを棒に振ってしまい、シーズンの目標もクリアできず、とても悔しかったです。

スキークロスは非常にけがの多いスポーツで、過去に大怪我をしている選手が世界のトップレベルの選手の中にも大勢います。しかし、そういう選手がけがを乗り越えて復帰をすると、怪我をする前よりも強く、そして速くなっていることが多いのです。

私もこういった世界のトップレベルの選手に負けないように、しっかりとリハビリをして、けがをする前よりも強くなって活躍していくため、目標に向かって突き進んでいきます。

GO-BEYONDER No.144

スキークロス選手

古野慧

1999年6月11日、新潟県生まれ。競技歴はアルペンスキー12年、スキークロス3年。小学1年から夏はBMX (バイシクルモトクロス)、冬はアルペンスキーと二刀流の活動を行う。現在のスキークロスとは小学4年生の時に出会い、BMXとアルペンスキー、両方の要素が詰まった競技性に魅了される。現在は来シーズンのワールドカップ出場権を獲得するため、厳しい練習に励んでいる。
所属チーム:慶應義塾大学 

Instagram:https://www.instagram.com/satoshi_f_3104/

Facebook:https://www.facebook.com/satoshi.furuno.9

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