GO BEYOND な 人
小原健汰(オバラケンタ)
プロスキーヤー
一歩一歩確実に進み、
ワールドカップでの優勝を目指す
国内外で活動し、世界一を目指すアルペンスキーヤーです。現在はプロスキースクール「サンダーボルトレーシング」に所属し、自分の得た経験を若い選手やシニア選手に伝えていく活動もしています。
冬はアルペンスキーヤーとして自身のレベルアップを図るために国内外のレースを転戦し、自分よりレベルの高い選手と戦っています。
主に出場しているのは「FISレース」です。「FISレース」は、国際的に決められたルールのもとで行われます。レースのレベルによってペナルティというポイントがつき、そのポイントを減らすことで世界的な実力が計れるレースです。
ペナルティのほかに、ゴールした時点でのトップとのタイム差で加算されるレースポイントが加わり、それが最終的にそのレースのポイントになります。期間内に獲得したポイントのなかで上位2つのポイントの平均になり、それにより世界ランクが決定します。
日本でも多くの「FISレース」が開催されていますが、そのレベルはまちまちでペナルティポイントにも開きがあります。日本の全日本選手権なども「FISレース」に分類され、国のトップを決める大会には「NC」(ナショナルチャンピオンシップ)という名前がつけられています。
このように「FISレース」にはたくさんの種類があり、その最高峰がワールドカップです。世界で1位の選手に与えられる0ポイントは、このワールドカップの結果でのみ獲得できる仕組みです。
最終的に目指しているのはワールドカップでの優勝ですが、まずは一歩一歩確実に進んでいくことが大切だと考えています。そのために海外遠征を行い、視野を広く持ち世界に挑戦しています。この活動の目標は、技術的に成長することはもちろん、たくさんの知識を得ることです。
海外での居住環境の確保、レース転戦のスケジューリング、練習環境の確保、技術面の分析、レースのエントリー、チューンナップはすべて自分で行い、移動にはレンタカーを利用しています。海外での運転をはじめ、日本ではできないさまざまな体験をもとに成長し、選手活動やコーチ活動につなげていくのもまたひとつのチャレンジだと思います。
夏は、冬に戦うための陸上トレーニングを行っています。また、これまでの選手生活や冬季の活動から新しく得た経験をもとに、日本有数のサマースキーエリアである「月山スキー場」の月山プロスキースクールで雪上レッスンを行い、生徒の皆さまに最先端の技術や情報を伝えています。
コーチングでは、現役選手の目線から選手たちが持つ悩みや考えの違いにアプローチし、自分が今まで遠回りをしてきた経験、悩んだ経験をもとに正しい方向に導いていきます。正解がない世界で前に進むのは難しいことですが、だからこそ自分がさまざまな経験を積み、それを少しでも困っている選手にフィードバックできればと思っています。
アルペンスキーの本場ヨーロッパを舞台に、世界で戦える実力をつけたい
今後は世界の壁を超え、世界一になるためにヨーロッパでのレース転戦にチャレンジします。
アルペンスキーという競技の本場はヨーロッパです。日本にもアルペンスキーを行える環境はたくさんありますが、速くなるための環境としてはヨーロッパに勝りません。山の標高や形からなるコースの難易度が、ヨーロッパのほうが格段に高いのです。
また、競技人口や国民のアルペンスキーに対する認知度、強い選手の層も日本はヨーロッパに勝りません。そのような環境要素が強い選手を作り出し、その選手の滑りを肌で感じて研究することで新しい技術が生まれ、レベルが上がっていきます。
海外のなかでもスキーの本場であるヨーロッパでレベルの高い選手の良いところを吸収し、レースで勝つことを目標に挑戦しながら世界で戦える実力をつけたいです。
また、スキーに関する知識もつけていきたいと考えています。ただレースに出場し、勝った負けたを繰り返すだけでは大きく成長することはできません。「なぜ勝つことができたのか」「なぜ負けてしまったのか」を自分なりに分析し、次に挑戦し、その結果からまた分析する。ヨーロッパのレベルの高い環境でそれを繰り返すことによって自分の中身も成長し、大きな成果を上げることができると思います。
世界の壁に挑戦し続けることで、今までの自分を超えていく
幼い頃からスキーに親しみ、小学1年生からアルペンスキーを始めました。そして、全国中学、高校でインターハイの優勝を経験しました。
その後、世界を目指そうと考え始め、国際大会に出場したときに感じた世界との大きな大きな壁。先輩やコーチの話、映像の世界などから、なんとなく日本と世界との間に壁があることには気づいていたのに、実際に肌で感じたその壁は、想像よりはるかに大きく高いものだったのです。そして、いずれはこの壁を超えていきたいと感じました。
そこから何年も「世界に挑みたい」と思い続け、やっと行動に移せるときが来ました。高い壁を超えていこうとするなかで、要所要所に現れる課題。それを一つ一つこなした先で、やっと高い壁を乗り越えられるのだと思います。
アルペンスキーの本場ヨーロッパには、日本国内で活動していては見つからない発見や刺激がたくさんあります。日本国内では常識になっていることもヨーロッパでは異なり、自身の考えが大きく変わったりします。
国内で自信をつけた状態で海外のレースに挑み、大きな差をつけられて負けたとき。今まで貫いてきた道具のセッティングを指摘され、変えてみたら印象がとても良くなったとき。日本では当たり前の技術について海外のコーチと話し合い、それが日本のなかだけのものだと知ったとき。
これらのすべてが今までの自分を超える新しい常識になっていきます。今まで国内で見て感じてきた常識を、新しい世界に触れることで塗り替えていけます。
そしてさらに、ヨーロッパで世界の壁に挑戦すること。いつまでも国内にとどまっていては「井の中の蛙」になってしまいます。進化し続ける世界最先端の技術に追いつき、それを超えていかなければなりません。挑戦し続けることで、技術的にも精神的にもレベルアップし、今までの自分を超えていくことができます。そのように一つ一つの課題をクリアしていき、最終的には世界の頂点に立ちたいと考えています。
GO-BEYONDER No.123
プロスキーヤー
小原健汰
1994年5月9日、山形県鶴岡市生まれ。競技歴は17年。冬は国内外のレースを転戦し、夏は陸上トレーニングを行う。所属するプロスキースクール「サンダーボルトレーシング」でコーチとしても活動中。
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