GO BEYOND な 人
後藤夏樹(ゴトウナツキ)
スノーボードアルペンコーチ
プロスノーボーダーの経験を活かした
後輩育成指導に全力を注ぐ
プロスノーボーダーの経験を活かし、スノーボードのアルペンコーチとして海外大会を中心に活動しています。現在は、スノーボードの日本代表・家根谷依里選手のパーソナルスタッフとして、世界選手権やワールドカップ、ヨーロッパカップなど、彼女に帯同し、ともに大会で戦っています。
私の主な仕事は、選手のスケジュール管理のほか、雪上トレーニング環境やフィジカルトレーニングも行える環境の確保・整備。選手が妥協をせず練習に集中できるよう、全力で支えています。また選手がどのようなコンディションなのか、どのようなメンタルでいるのかなど、毎日チェックを行い、いかに信頼関係を築いていくかを大切にしながら、全てのサポートを行っています。
現在私がサポートしている家根谷依里選手は、2017年冬に札幌で開催された「札幌冬季アジア大会」スノーボードのアルペン女子大回転の部で、日本人金メダル第1号を獲得。今年の冬に開催される韓国・平昌での冬季五輪でも彼女がメダルを狙えるよう、引き続きサポートしていきます。
語学の壁を越えて世界レベルのコーチングに挑戦する
私が現役時代に行っていたトレーニングや出場していた大会は、主にフランスで行われていました。その頃の私はフランス語も英語も不慣れで、コーチや仲間の選手とのコミュニケーションに大変苦労したことを覚えています。基本はフランス語で会話するのですが、それだけでさえ難しいのに、選手によっては英語とフランス語のミックスになったりするため、辞書を持ち歩き、その都度単語を調べながら会話をしていました。
そんな海外経験を経て再びこうして選手に帯同し、海外で活動することになるとは思ってもいなかったことです。おまけに今回は自分自身ではなく、選手をサポートする立場。選手がのびのびとトレーニングでき、大会で結果を残せるようにするには、第一に支える私の語学力が必要です。
お恥ずかしながら、コーチを始めた頃は選手にたくさん助けてもらいながら遠征していました。しかしコーチングやワールドスタンダードな滑り、テクニカル分析など自分の強みはしっかり選手に伝えるようにしていました。そうすることで、選手との信頼関係や仲間という意識を持て、チームとして世界にチャレンジできるまでに成長することができました。
とはいえ、世界を相手に戦うには語学は必要不可欠です。コミュニケーションのために翻訳や単語を検索するのですが、グローバルWiFiを使うようになってからは通信環境が整い、たくさんの人と情報交換や収集が可能になりました。
おかげでコーチ同士のコミュニケーションも格段に増し、ようやく海外の強豪選手のコーチと同じスタートラインに立てたかなと思っています。今後はワールドスタンダードのコーチングを目指して、選手とともにチャレンジしていきます。
国境や言葉の壁を越えられたことが、選手のパワーアップに繋がっている
現在、海外を中心に活動し、4年目を迎えました。1年、2年……と年数を重ねるごとに今では外国のコーチとの関係性も深まり、国や言語を超えて、同じ競技の仲間として合同トレーニングを行えるまでになりました。これは選手にとって、海外の選手からあらゆることを学べる絶好のチャンスとなりますので、有意義な訓練を行えていると自負しています。
また遠征先の文化や、たくさんの人との国境を越えたコミュニケーションが増えたことで、これまで感じていた限界や言葉の壁を超えることができたと確信しています。私がこうしてさまざまな壁を超えることが、ひいては選手の強化にも繋がると思っているので、これからもコーチとして選手を最大限サポートできるように努めていきたいです。
GO-BEYONDER No.107
スノーボードアルペンコーチ
後藤夏樹
かつて18歳からプロスノーボーダーとして活躍後、25歳から全日本スキー連盟スノーボードナショナルチームとして活動。現在は大林組所属 家根谷選手のパーソナルコーチとして国内外の大会に参戦、その経験と知識を活かし選手のメダル獲得に貢献している。