GO BEYOND な 人
三木つばき(ミキツバキ)
アルペンスノーボーダー
世界一になりたい。
強くて、最速で、美しい選手になりたい
私の父は、スノーボードテクニカルという競技で日本一になったことのある選手でした。私は父の背中を追いかけて、山を駆け巡ったものです。そして追いかけるうちに、「いつか父に勝ちたい」「私ももっともっと速く滑りたい」「世界で一番速く滑りたい!」と思うようになりました。9歳からは一人で山にこもるという選択をし、歯を食いしばりながらひたすら練習する日々です。
2016-17年はドイツ・オーストリア・イタリアの大会5戦に出場し、すべて優勝することができました。これからも14歳まではU15の大会にできるだけ多く出場し、全勝してヨーロッパ制覇を目指します。シニアの大会に出場できる15歳になったら、海外戦にも本格的に挑戦したいです。
アルペンスノーボードはこれまで30代の選手たちが活躍してきましたが、2016-17シーズンは10代や20代前半の選手の活躍も多くなってきました。私もシニアでデビューして経験を積み、10代から活躍できる選手として連戦してまわります。ヨーロッパカップ、ワールドカップなど、強い選手たちが戦う舞台に参加できることが今からとっても楽しみです!
中学生の私は、もちろん勉強にも同じように励んでいます。そして、練習の環境を作るために中高一貫校への受験を経て、入学しました。オリンピックに初めて出場できる年齢になるのは、高校3年生の時。このままオリンピックまで突っ走り、メダルを狙える選手になりたいです。そして世界一になり、次世代の人たちが私よりスノーボードレースの競技に集中できるような環境にしたいと思います。
北京オリンピック出場を目指し、15歳から海外戦に本格挑戦。
目標は、15歳でワールドカップ、17歳で世界選手権、そして18歳で北京オリンピックへ出場すること。このプランの実現に向けて、すでに始めているトレーニングや環境作り、チーム作りをさらにスピードを上げて推し進めていきます。
トレーニングについては、日本から練習機材を持って行き、現地でバーンを借り入れて外国チームと対等な練習環境を整えることが大切だと、海外遠征初年度に感じました。外国の雪は氷のように硬く、日本の雪とは明らかに違います。勝つためには、大会が多く開催される欧州の雪上で練習し、大会時に自信を持ってチャレンジできるように準備することが必要です。また、外国チームと共に練習し、トレーニングの質を上げ、気持ちが取り残されないようにすることが大会の結果につながると感じています。
硬いバーンの上でカービングするのはとても難しいため、バランス力や持久力も大事です。「身体を整える」「筋肉が衰えないようにする」「柔軟性を保つ」という意味でも、現地ではコンディショントレーニングが重要になります。
機材をなるべく持って行くことも大切ですが、現地でしっかりトレーニングできる環境を作っていきたいです。こうした環境作りは、一人ではできません。一緒に遠征に行ってくださるコーチや仲間、日本の多くの方々の協力が不可欠です。そのため、皆さまのお力を貸していただけるよう、日本でも働きかける活動をしていきます。
さらに海外でチャレンジしたいのは、言語を覚えること。海外ではどこへ行くにも何をするにもその国の言語が必要です。買い物や移動をする時に、英語もドイツ語も知らなかった私は本当に苦しい思いをしました。
練習中は外国人コーチや選手と想像以上に話すことができず寂しい思いをし、自分は選手に向いているのか分からなくなる時もありました。外国人コーチと話をする際は、指導してもらう微妙な言葉使いを理解することで効率よく上手くなると思います。これからも学校や塾で頑張りながら、現地の言葉を生で聴いて覚えていきたいです。
「止まらずにやるべきことを続けること」で大きな山を越え、
目標を達成していく
スノーボードアルペンは、15歳になると国際選手登録が可能となります。ヨーロッパから遠い日本では、16歳ごろから海外の遠征に出かけるのが通例でした。しかし、私は13歳の時に日本人として初めて15歳以下の国際大会に出場し、連戦してきました。
こうしたチャレンジができたのは、日本で両親と離れて山に入り練習を重ねる冬季の生活がベースにあり、結果を積み上げることでサポートを受けられたからです。
15歳以下でヨーロッパの大会へ挑戦すること自体も、また、それ以前に選んだ練習環境も日本では常識的ではなかったかもしれません。私自身、色々な声も聞こえてきました。しかし、自分が信じて選んだ夢への努力を継続すること、歩みを止めないことが、今の自分を作っていると思います。言葉が通じない、移動が簡単ではない、お金も価値観も文化も食事も宗教も違う場所に行っても、私がするのは日本と変わりなく「止まらずにやるべきことを続ける」ことです。
「GO BEYOND」というと大きな挑戦をイメージすることも多いと思いますが、私にとっては小さな努力と忍耐の日々の積み重ねではないかと思えます。最初の長期遠征では病気になって病院にかかったり、食事が合わずむくみが取れなかったりすることもありました。しかし、「その日、その時、やるべきことを一つひとつやっていく」という歩みは止めずに過ごしてきました。トレーニングもそうですが、地味な作業を繰り返すことで大きな山を越え、目標を達成していくのではないかと思います。
GO-BEYONDER No.101
アルペンスノーボーダー
三木つばき
2003年6月1日、長野県北安曇郡白馬村生まれ。5歳より静岡県掛川市在住。アルペンスノーボードの競技歴5年。2008年(4歳)にスノーボードを始め、2012年(小学3年)からアルペンを始める。2015年(小学6年)にプロ資格を取得し、「Together Alive」とメインスポンサー契約を結ぶ。2017年(中学1年)、15歳以下の国際大会に出場。同年に掛川市の「輝くかけがわ応援大使」に就任。
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