GO BEYOND な 人
中村貴咲(ナカムラキサ)
プロスケートボーダー
アメリカ発祥のスケートボードを、
もっとたくさんの人に知ってもらいたい
スケートボードはアメリカのカルチャーから生まれたスポーツです。私はこの競技で、トランジッションや半円状のボールというセクションが複合している「パークスタイル」を得意としています。競技時間は約45秒。この短い間で、技の難易度や高さ、完成度、スタイル、構成などを競い合います。
現在は海外の世界大会を中心に転戦し、ショーケースにも出演しながら、プロスケートボーダーとして活動しています。日本ではまだ認知度が低く、普及していないのが実情です。ですが嬉しいことに、2020年の東京オリンピックでは新たな競技種目として追加されましたので、今後もこのスポーツの楽しさや知名度、競技人口を高める活動をしていきたいと思っています。
新しい技を覚えること、語学力をつけることが、
今の自分を超えるチャレンジ
スケートボードの世界では新しい技が毎日のように生まれていきます。他の選手に勝つためには、誰よりも難しい技を大会で成功させることが必要不可欠です。自分が他の選手に負けないためには、技の進化に置いていかれないようにトレーニングで難しい技、新しい技にチャレンジしていかなければいけません。
難しい技には危険がつきものだし、もちろん恐怖心もあります。でも恐れを乗り越えることが技を身に付けることに繋がります。まず技をパーツごとに分解して、パーツ一つずつを覚え、それぞれができるようになったら組み合わせて技を完成させる。それができるようになった時の嬉しさといったら、言葉に表せません。この快感と興奮を知ってしまったら「何があっても、恐怖心があっても乗り越えてみせる!」と思えてしまいます。
またトレーニングと同様に英語の勉強も欠かせません。私が海外の大会に出られるようになったきっかけは、自分で辞書を使いながら書いた、大会関係者への出場願いの手紙でした。この手紙が世界への扉を開いてくれたようなものです。ですから、英語が話せることはとても重要に感じています。今は少しでもネイティブに近づけるように、海外遠征で積極的に英語で話すように心がけています。
X Gamesでの優勝が、戦う勇気と自信をくれた
昨年、私は世界最高峰のスケートボード大会「X Games」にて優勝することができました。当時は世界大会に初めて出場するという途方もなく高い壁と、待ち受ける強豪選手たちの気迫に気おされて、自分の体ではないと錯覚してしまうほど体が動きませんでした。でも「最高の場所で滑るのだから、楽しめなければ参加した意味がない」と気持ちを切り替えて、自分の滑りに集中しました。すると、今までで最高の滑りを披露することができたのです。この経験が、世界の最前線で戦う勇気と自信をもたらしてくれました。またアジア人として参加していたにもかかわらず、選手や観客の皆さんが、国関係なく祝福してくれたことにもとても感動したことを覚えています。
この貴重な経験から、スポーツには国境を越えて人の心を動かす力があることを実感しました。私が得てきた素晴らしい経験を、私なりに多くの人々へ伝えていければと思っています。これからの目標は、2020年東京オリンピックでのメダル獲得と、世界大会で常に上位入賞を果たすことと、スケートボードの楽しさ・素晴らしさを伝えていくこと。目標が実現するように、自分を信じてこれからも精進していきます。これからも、たくさんの応援をよろしくお願いします。
GO-BEYONDER No.091
プロスケートボーダー
中村貴咲
2000年5月22日、兵庫県生まれ。6歳からスケートボードを始め、大人も出場するハーフパイプの大会「VERTMEETING」にて、初出場ながら初優勝を果たす。2014年にはアメリカで開催されたワールドカップ「16th Annual Tim Brauch Memorial Skate Contest」のウーメンズプロクラスで優勝。そして2016年、全世界が注目する世界最高峰のエクストリームスポーツ競技大会・X Gamesのアメリカ・オースティン大会にて、日本人として初めて金メダルを獲得。アジア人としても初メダルとなる快挙を成し遂げた。日本を代表するスケートボーダーとして、2020年東京オリンピックでの活躍が期待される。
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