GO BEYOND な 人
吉田圭伸(ヨシダケイシン)
クロスカントリースキーヤー
雪原を駆け抜けるクロスカントリースキーの
魅力を日本の人々に伝えたい
私の競技・クロスカントリースキーは、雪上を駆け抜けるウィンタースポーツです。急斜面を猛スピードで滑り降りる大回転や、傾斜を滑りながら跳躍するジャンプ競技とは異なり、平地や坂をスキー板とストックを用いて勢いをつけながら歩いたり滑ったりします。最短でも1.5km、最長で50kmもの距離を、進みづらいスキー板を履いてゴールを目指すため、体力はもちろん、長距離を攻略するための知識や戦略が必要になるので「冬のマラソン」と言われています。
私が競技を始めたのは小学2年生のとき。兄の影響を受けたことがきっかけで、以来22年の間クロスカントリースキーに携わってきました。試合が開催される冬季に向けて、夏場のオフシーズンは体力づくりをメインにトレーニングを行っています。例えば、足腰を鍛える登山や水泳のほか、ロードバイクやウェイトトレーニング、ランニングなどを行いながら、ローラースキーによる専門的な練習も並行して取り組んでいます。国外では夏場でも氷河の残るヨーロッパで、2000~3000メートル級の高所や、スキートンネルでスキートレーニングを行っています。
11月下旬から3月上旬までは当競技のオンシーズンです。国内外のトレーニングから一転して住まいをヨーロッパに移し、毎週末のように開催される現地の国際大会に出場します。毎年開催されるワールドカップはもとより、2年に1度の世界選手権、4年に1度のオリンピックなど、世界レベルのスキーヤーが集結する国際大会に出場することでトップクラスの選手たちと肩を並べられるよう、日々努力を重ねています。
クロスカントリースキーは他のノルディック競技と比べて知名度はまだまだで、国内メディアからの情報も少ないのが実情ですが、私の活動を通じてこの競技を少しでも知ってもらえるよう、競技活動に力を入れています。
冬季五輪・平昌オリンピックでのメダル獲得が目標
この競技の強豪国は、ノルウェーやスウェーデン、フィンランドといった北欧や、カナダなどの欧米です。オリンピックの表彰台は彼らの国が独占することも多く、日本人がメダルを獲得したことはまだありません。ですから目下の目標は冬季五輪でメダルを獲得することです。
2017/18年に開催される韓国・平昌での冬季五輪は、同じアジア圏での開催で時差がほぼないこと、年齢・技術的にも成熟してきた今のタイミングがベストということもあり、私にとっては強豪国の選手より有利に試合を進められる絶好のチャンス。勝利の条件が整えば、私にもメダル獲得のチャンスは大いにあると確信しています。
その目標に到達するために夏場に単身でドイツへ赴き、ワールドカップや世界選手権で優勝経験のある著名なコーチに指導を仰いでいます。語学力はネイティブとはまだいきませんが、コーチの厳しい特訓に必死に食らいつき、勝つためのメソッドを一つでも多く吸収するために日々心血を注いでいます。
4年がかりで超えた自身の壁。これからももっと成長していきたい
クロスカントリースキーは自然を相手にする競技のため、自己ベストタイムではなく順位結果が全てです。2012/2013シーズンに開催されたワールドカップの11位という記録が2016年までの成績ではベストでしたが、2016/2017シーズンにスウェーデンで開催されたワールドカップでは、ようやく過去成績を上回る10位入賞を果たしました。さらに、2週間後に開催された平昌でのワールドカップでは、過去最高の6位に入ることができました。
自己ベストを更新するまでには4年の歳月がかかりましたが、世界との差を確実に埋めることができたことは、自身の壁を一つ越えることができた意義ある出来事でした。今年30歳を迎え、競技に携わる者としてベテランの域に入りつつありますが、まだまだ学ぶこと・成長の伸びしろはあると感じています。これからも、この瞬間を超えられるよう、絶え間なく努力していきたいと思っています。
GO-BEYONDER No.087
クロスカントリースキーヤー
吉田圭伸
1987年1月12日、北海道生まれ、中央大学卒業。小学校2年からクロスカントリースキーを始める。現在は国営オリンピック選手養成機関・自衛隊体育学校に所属し、ヨーロッパを中心に転戦中。
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