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GO BEYOND な

窪木一茂(クボキカズシゲ)

自転車競技選手

東京五輪でのメダル獲得をみすえ、
トレーニング中。

福島県生まれ、Team Vini Fantini・NIPPO・DE ROSA所属。競技カテゴリーは中距離(オムニアム等)、長距離(ロードレース)です。高校時代から自転車競技に親しみ、2016年からはより専門的なトレーニングを行えるヨーロッパに拠点を移し、イタリアのプロサイクリングチームとプロ契約を交わして欧州を中心としたロードレースに出場しています。また今年は自転車競技の日本代表として初めてオリンピックに出場しましたが、世界のトップ選手たちとの実力の差を見せつけられる結果となりました。しかしこれも貴重な経験。今回の舞台で得た経験を糧に、東京オリンピックの表彰台に立てるよう、しっかり準備をし、頑張っていきたいと考えています。

2013年
第 33 回アジア自転車競技選手権大会 オムニアム 第3位
JBCF J プロツアー第4戦群馬CSCロードレース 優勝
全日本タイムトライアル選手権 個人タイムトライアル 第3位
東京国体 成年ロードレース 優勝
2014年
アジア大会(韓国·仁川)4km 団体追抜 第3位
第 34 回アジア自転車競技選手権大会 4km団体追抜 第 4 位、ポイントレース 第 6 位
全日本トラック選手権 ポイントレース 第2位、4km個人追抜 第2位 4km団体追抜 第2位
ツールド北海道 第 2ステージ 第2位、個人総合第4位
全日本オムニアム選手権 優勝
2015年
UCI トラック世界選手権 ポイントレース第 10位
第 35 回アジア自転車競技選手権大会 4km 団体追抜 第2位、オムニアム 第4位
全日本トラック選手権 ポイントレース 優勝、4km 個人追抜 優勝、4km 団体追抜 優勝
ACCアジアカップ(タイ) スクラッチレース 優勝、オムニアム 第2位
全日本選手権ロードレース 優勝
Jプロツアー第1戦宇都宮クリテリウム 優勝
Jプロツアー第 18 戦 いわきクリテリウム 優勝
和歌山国体 成年ロードレース 優勝
2016年
UCI トラックワールドカップ第2戦香港大会 オムニアム12位
UCI トラック世界選手権ロンドン大会 オムニアム16位
リオデジャネイロオリンピック 男子自転車競技オムニアム14位

日本での自転車競技の発展を目指し、ヨーロッパで実力をつけたい。

私の競技種目はトラック中距離と長距離のロードレースですが、異なる種目を平行して行っている日本人はほとんどいません。また、社会人になってからも複数の競技種目を取り組める環境や企業支援は、日本国内では不足している状況です。そんな中でイタリアの実業団とプロ契約を結べ、整った環境で競技を行えることは大変幸運なことだと感じています。このケースが後進にも活かされ、日本における自転車競技の発展に少しでも役にたてればと願わずにはいられません。そのためには自転車競技の本場・ヨーロッパで自身の実力を少しでもアピールできる存在になること、より一層実力をつけることを肝に銘じ今後もトレーニングやレース経験を重ねていきたいです。

厳しい環境のロードレースを通じて自分を“超える”ことが
世界の壁を超える大きな力になる。

ヨーロッパでは、数日間に渡って長距離を走破するレース「ステージレース」が多く開催されています。このレースではその日に設定された制限時間内にゴールしなければ、翌日のレースに出場できないという厳しいルールを設けており、僕も修行の一環で出場していました。そんな中でも特に印象に残っている試合が、トルコで開催された「ツアーオブターキー」。ヨーロッパで行われるレースの中でも最上位に属する重要な試合で、世界中からトップアスリートが数多く参戦し、名実ともにハイレベルなゲームとなりました。

それはレース3日目のこと。160キロの距離を制限時間内に走行しますが、5キロほど走ったところで強い横風と向かい風にあおられながらの試合運びとなりました。130人ほどの選手が参戦するなか強風の影響で落車が発生、アクシデントに巻き込まれる形で最後尾まで順位を落としてしまいました。その時点でゴールまで残り120キロほどの距離を4時間以内に走る必要がありましたが、風に雨も加わり、向かい風のためにスピードも半分程度しか出せないという最悪のコンディションに見舞われました。「だめかもしれない」とくじけそうになりましたが、ここで諦めればゲームは終了。タイムオーバーでのリタイヤは絶対に避けたい、という思いで、体力の限界を何度も感じながらなんとか制限時間内に走りきることができました。

ロードレースはアスリートとの戦いであると同時に、自然環境や自分自身との戦いでもあります。そんな試合で、ここまで精神的に追い詰められ、体力的にも限界を感じながら、ただひたすらゴールを目指して走り切った経験はありませんでした。しかし、この経験こそが選手としての次のステージへ上がれたように感じたのです。僕の目標は世界で勝利すること。そのためには、死にもの狂いでレース経験を積み重ねていかなければならないでしょう。もちろん自分のレベルが上がればハードルも高くなっていきますが、目指す先で得られるものはさらに大きなものになるはずです。今よりももっと自信と強さ、勝利を手にするために、これからも自分を、世界を超えていきたいと思っています。

GO-BEYONDER No.082

自転車競技選手

窪木一茂

1989年福島県生まれ。スポーツで全国大会に出場したいという思いから、高校で強豪の自転車競技部に入部し自転車競技を始める。2008年からは自転車競技の名門日本大学に進学し、3年時に人生初めてとなるインカレチャンピオンとなった後、国内で数々のタイトルを獲得。卒業後はトラック競技のほかプロとしてのロード競技を二足の草鞋で続けるなか、支援体制や指導者が充実していた和歌山県に拠点を置きながら、実業団に所属。和歌山県庁の職員として業務を遂行するかたわら、トラック競技、ロード競技を続ける。2016年からはより力をつけるため、ヨーロッパに拠点を移しトレーニング中。リオデジェネイロ五輪では日本代表として出場を果たした。

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