GO BEYOND な 人
長谷川絵美(ハセガワエミ)
アルペンスキー選手
「世界で戦えるスピードを」
東京都葛飾区に生まれ新潟県湯沢町で育ったアルペンスキー選手です。アルペンスキーとは、ターンや直滑降を織り交ぜながら雪斜面を滑走、旗に沿って滑り、タイムを競うスポーツ。スキーの原型とも言われるノルディックスキーから分化したスキーで、ヨーロッパのアルプス地方で発展しました。アルペンスキーでは雪上のトレーニングだけでなく、陸上でのトレーニングも大切です。2018年に韓国で行われる平昌オリンピックでメダルを取ることを目標に、日々トレーニングを重ねています。
「国技に負けないトレーニングを」打倒ヨーロッパを目指す。
競技スキーを始めたのは、小学校2年生の時です。これまでに、様々な実績を積み重ねてきました。インターハイでは回転種目2連覇、国民体育大会では少年女子組・成年B組で優勝、全日本選手権では、回転・大回転・スーパー大回転・アルペンコンビ種目で優勝…などです。日本女子体育大学在籍中、ケガでスキーができない期間もありました。2008年11月23日のレースで右膝前十字靭帯を損傷してしまったのです。ケガをしたことはショックでしたが、懸命にリハビリしたおかげで、無事に復帰しました。復帰直後に初めてきちんと滑る前には、早く滑りたい気持ちと、滑れなくなっていないかという不安の両方が入り交じっていました。結果的には、痛みを感じたら休むというペースを守りながらも、きちんと滑ることができた喜びが大きかったです。日本女子体育大学卒業後は、サンミリオンスキークラブに所属。とても良い環境でスキーをさせて頂き、感謝の日々です。
オーストリアはアルペンスキーを国技とするだけあり、とても強い選手が多いです。10歳・15歳の時点で、アルペン選手となることを選べる環境も関係しているかもしれません。また、アルペンスキーも、アルペンスキーの元であるノルディックスキーもヨーロッパで生まれた競技だけあり、ヨーロッパの国々は全体的に強い選手が多いと感じます。アルペンスキーを行うのに適した山が多く、練習がしやすいというのもあるでしょう。現在の私の目標は、強豪である彼らに勝つことです。彼らに勝つために、ヨーロッパやアメリカ、北半球などを活動場所として、普段から雪上トレーニングと陸上トレーニングを行っています。
スキーで陸上トレーニングというと、不思議に感じられるかもしれません。しかし、陸上でのトレーニングもとても重要です。陸上のトレーニングでは、筋力や持久力、体のバランス、動きのコントロールなど、スキーを行う上で必要な筋肉などをバランスよく鍛えます。筋力を鍛えるだけでは、しなやかな動きが出来ません。また、体のバランスが悪くても、やはり滑りに影響が出ます。だからこそ、陸上トレーニングはシーズンのオン・オフ問わず欠かせません。雪上トレーニング中でも陸上トレーニンのトレーナーについてもらいます。トレーナーについてもらうことで、自分が何を鍛えるべきなのかが明確になり、効率よくトレーニングを行えるからです。トレーナーやメーカーの皆さまが支えてくださるおかげで、どんどん強くなれそうだと感じています。
「自分でも勝てる!」強豪を超えられると感じた瞬間。
アルペンスキーでは、先に滑ることのできる選手ほど有利です。先に滑る選手が多ければ多いほどコースが荒れ、後から滑る選手は不利になりがち。先に滑る権利があるのは、これまでの成績が良い選手です。つまり、トップの選手から順番に滑ることができます。私はまだランキングが30位にも達しておらず、どうしても滑るときにはコースが荒れ、不利な状況になる傾向にあります。
しかし、諦めてはいません。なぜなら、トップ選手たちとの合同練習では、希望が見えているからです。具体的には、トップの選手とのタイム差が少なかったり、自分の方がより速いタイムを出せたりすることがあげられます。条件さえ良ければ対等に戦える、トップの選手を「超えられる」と自信が持てました。もちろん、より良い条件のコースで滑るためには、ランキングを上げなければなりません。私自身の滑りがよりレベルアップしていけるよう、そして、自分に有利な状況をつかみ取るためにランキングも上げられるよう、これからも邁進してまいります。
GO-BEYONDER No.034
アルペンスキー選手
長谷川絵美
1986年、東京都葛飾区生まれ新潟県育ち。小学校2年生から競技スキーを始め、インターハイ、インターカレッジ、全日本選手権などで優秀な成績を残す。2008年にケガをするも、無事復帰。現在は世界を相手に戦い、自己ベストを更新しながら、強豪国であるヨーロッパの選手に勝てるよう日々トレーニングを積み重ねている。