GO BEYOND な 人
末吉智一(スエヨシトモカズ)
アメリカンフットボール選手
アメリカンフットボールで日本一を目指す。
次の世代が世界で活躍することを夢見て。
現在、日本社会人アメリカンフットボールXリーグ IBM BIGBLUEに所属しています。チームの一員としてライスボウル(アメリカンフットボールの日本一を決定する選手権大会)に出場し、日本一になることを目指しています。また、高校生や大学生へのコーチング、フラッグフットボールのレクチャーを通してのアメリカンフットボールの普及活動も行っています。
2005年 | 早稲田大学高等学院でアメリカンフットボールを始める |
2010年 | 関東学生リーグ史上7人目1000ydsラッシャー(関東学生MVP選出) |
2010年 | 学生全国大会決勝 甲子園ボウル出場(準優勝) |
2011年 | IFAFワールドカップ オーストリア大会 日本代表(銅メダル) |
2013年 | オールXリーグ ランニングバック選出 |
2014年 | 社会人リーグ決勝 JAPAN X BOWL出場(準優勝) |
日本のアメリカンフットボールを、もう一度世界へ。
日本人初のCFL選手を狙う。
現在は日本で活動していますが、実現すれば日本人初となるCFL(カナディアンフットボールリーグ)選手を目指しています。日本ではまだまだCFLはもちろんのこと、アメリカンフットボール自体の知名度が高くないというのが実情です。しかし、実際のところ日本のアメリカンフットボールの歴史は古く、過去のワールドカップにおいても本場であるアメリカには敗れましたが世界で2位となっています。それにも関わらず、これまでにアメリカンフットボールの最高峰であるNFLや、カナダのプロリーグであるCFLのフィールドに立ってプレーした日本人は誰一人としていません。NFLヨーロッパ※1や、アリーナフットボール※2などが盛んだった時代では多くの日本人が海外でプレーしており、その能力を発揮し実力を証明してきました。しかしながら、今日ではNFLヨーロッパがなくなったことに加え、外国人選手の起用にまつわるルールの改変などにより、日本人選手が海外の一流リーグに所属し、一流リーグに所属しプレーの機会を得ることは、より一層難しくなってしまいました。そのような状況でも、私は体格の差や語学力などといった様々な障害を跳ね返し、自分自身もこれまで海外で活躍してきた先輩方の歩みに加わりたいと思いますし、また日本のアメリカンフットボールのレベルの高さを本場の選手たちに見せていきたいと思っています。雨垂れ石を穿つ。日本フットボールが世界の壁を打ち破ることを信じて。
※1(2007年まで行われていた、アメリカンフットボールの世界的普及を目的とし、NFLが主催していたヨーロッパに本拠地を置くチームでのリーグ戦)
※2(アメリカンフットボールをホッケーリンクなど室内で行うことができるようルールを変更したもの)
何より自分自身の夢であるプロフットボール選手でのリーグ参加、
チームのロースター入りを実現したいです。
私がCFLに挑戦する上でのカギとなるのが、トライアウトを受ける際に自分を推薦してくれる強い味方を作るということです。日本人がCFLで活躍したという前例がほとんどないため、簡単には挑戦させてもらえません。運良く私はバンクーバーでブリティッシュコロンビア大学のコーチに出会うことができ、彼が現在CFLにチャレンジする手助けをしてくれています。
しかし、出会った当初は彼の信頼を得るのにとても苦労しました。まず、私がCFLのトライアウトを受けたいという話をしても、冷ややかな目で見られるだけでした。
ところが、彼に日本におけるアメリカンフットボールのことや、自分自身の「CFLでプレーしたい」という熱意をつたない英語で一生懸命伝えてみたところ、彼は徐々に話を聞いてくれるようになりました。そこで、私はこれまで日本で行ってきた試合の良いプレーを編集したハイライト動画を見てもらいました。すると、今までの冷ややかな態度とは一転、明らかに私に興味を持ってくれているのがわかりました。コーチの反応が予想よりもよかったことに自信を持った私は、最後にどれくらい足が速いのかと聞かれた時、思い切って「これから目の前で走るからタイムを計ってくれ!」とお願いしてみたのです。気持ちよく晴れた最高のコンディションの中で、このような 日のためにトレーニングを積んでいた成果が実り、走り終わってみると自己ベストのタイムを出していました。コーチも私のことをすっかり気に入ってくれ、すぐに知り合いのいるCFL5つのチームのスカウトに推薦してくれることになりました。さらにバンクーバーのチームに関しては、非公開のトライアウトも特別に受けさせてもらえることにもなりました。
今シーズン(2015年シーズン)は、残念ながらシーズンインにチーム契約に至ることはできませんでしたが、シーズン途中に招集される可能性もある為、それに備えて日本で活動しています。
CFLに挑戦するため、英語で自分の想いを伝えられるようにする、自分の良い所を見てもらえるようハイライト動画を作っておく、40ヤード走るトレーニングをする、バンクーバーのアメフト部がある大学を調べておくといった準備が、今回全てにおいてつながり、大きなチャンスを得ることになったのはとても嬉しかったです。
しかしCFLの選手になるための道は険しく、簡単ではありません。まだまだ小さなきっかけを一つ掴めただけではありますが、「よく準備をして、チャンスだと感じたら勇気を持って飛び込む」という気持ちをこれからも常に持ち続け、日本人で初となるCFL選手への壁を超えて行きたいと思います。
GO-BEYONDER No.020
アメリカンフットボール選手
末吉智一
1989年東京都生まれ 中学生時代から走るのが速く、高校に入った頃にプロリーグのNFLを見たこと、アメリカンフットボールが題材の漫画を読んだことがきっかけで高校時代から始める。2009年にはノートルダムジャパンボウル日本代表にメンバー最年少で選出される。ポジションはRB。