GO BEYOND な 人
三澤拓(ミサワヒラク)
片足スキーヤー
次こそメダルを獲る!
欧米ではスキーはとてもポピュラーで、特にオーストリアやスイスでは人々の暮らしの一部になっているほどに欠かせないスポーツです。なかでもアルペンスキーは人気が高く、トップアスリートになると日本のプロ野球選手よりも多い収入を得ています。そんな種目において、欧州の強豪に勝つことはとても爽快な気分になります。
また海外勢に勝つために、一年のうち半年程度を欧米でトレーニングし鍛えています。とりわけ4年に一度のパラリンピックは特別な舞台です。これまでトリノ、バンクーバー、ソチと連続して出場してきましたが、メダル獲得には至っていません。次回の2018年平昌パラリンピックにも出場し、金メダルを獲れるよう挑戦し続けます。
2006年 | トリノパラリンピック 回転5位、大回転10位 |
2007年 | ワールドカップ 回転第3戦3位 |
2008年 | ワールドカップ 回転第1戦2位 |
2009年 | 世界選手権 回転3位 |
2010年 | バンクーバーパラリンピック スーパー複合6位 |
2012年 | ワールドカップ 回転第2戦4位、第5戦5位 世界選手権 複合8位 |
2014年 | 北米カップ第2戦優勝(アメリカ、カッパーマウンテン) |
2014年 | ソチパラリンピック 滑降9位、スーパー複合9位 |
2015年 | 世界選手権スーパー複合7位(カナダ、パノラマ) ワールドカップ 8位 ヨーロッパカップ 6位 ヨーロッパカップ 6位 |
過酷なトレーニングで、海外勢に負けないタフな自分を創りあげる。
6歳のクリスマスプレゼントの買い物中に交通事故に遭い、左足の太ももから下を失いました。
その後8歳でスキーと出会い、小・中学校と地元のジュニアスキーチームに所属。中2で初出場したジャパンパラリンピックでは2位を獲得、中3から全日本障害者アルペンスキーチームに入り、今まで世界の大会で戦ってきました。一年の活動内容としては、4月~7月は日本でフィジカルトレーニングを。8月はニュージーランドで雪上トレーニングやマテリアルテストを行っています。そして9月は再び帰国しフィジカルトレーニングで鍛えて、10月~翌年3月までは欧米に拠点を移し、雪上トレーニングやワールドカップを転戦しています。ジムに通うなどのトレーニングも勿論大切で取組んでいます。
2018年の平昌パラリンピックで強豪を超えるために。
欧米でのトレーニングでは、3000メートルを超える標高にスキー場があります。日本のスキー場とは1000メートル程度差があるため、冬場の欧米のトレーニングや大会で良い成績を収めるためには、夏からそれに耐えうる厳しいトレーニングを積む必要があります。つまり日本でも海外のレース場を見据えたトレーニングを行っておくことが大切なのです。私は海外のプレイヤーに勝つことを意識し、常に自分にプレッシャーをかけながら自分の可能性を信じなければ世界では成功しないでしょう。パラリンピックは私にとって世界の頂点に挑める大きな舞台です。また、これまでお世話になった方々への恩返しという意味でも出場したら金メダルを目指したいと思っています。2018年のパラリンピックで頂点に立つ自分を描きながら、これからも海外勢を「超える」トレーニングを続けています。
GO-BEYONDER No.012
片足スキーヤー
三澤拓
1987年、長野県松本市生まれ。「片足のスキーヤー」として知られており、日本の障害者スキーの第一人者でもある。6歳で交通事故に遭い左足を膝上から切断。8歳でスキーと出会い、小学5年生からアルペンスキーを始める。15歳から全日本障害者アルペンスキーチームに所属し、世界大会へと勝負の場を広げる。スポーツの祭典の最高峰、トリノ、バンクーバー、ソチそれぞれのパラリンピックに連続出場を果たす。