24Hour World Time Trial Championships

 みなさんは自転車のタイムトライアルレースと聞くとどんなものを思い浮かべるでしょうか? 2017年11月、アメリカの砂漠地帯にある小さな町、BORREGO SPRINGSで行われた24時間のタイムトライアルレース、24Hour World Time Trial Championshipsに参加してきました。

砂漠の町BORREGO SPRINGSの謎ドラゴン

 

 TimeTrial、World Championships……さぞかし本気なレースなのではないかと思われそうですが、そうでもありません。このレース、私が目標としているRAAM – RacaAcrossAMrerica(アメリカ大陸横断レース)と同じ主催団体によって開催されており、その参加資格獲得レースでもあります。

 参加者の半分弱は上位入賞を狙う人たち。といってもツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアといった良く知られたロードレースに出場しているような選手はおらず、ウルトラマラソンサイクリスト – ロングライド界で名の知られた選手、例えばレース直前の10月にトラックでの24hレコードを更新したChristoph Strasser選手(942km)や、更新される前の世界記録保持者だったMarko Baloh選手(903km)、過去フランスの個人TT代表でもあり、直前の24hルマン耐久レースで900km以上走りぶっちぎりで優勝したEvens Stievenart選手などが参加してきます。こういった長距離のファストランはオッサン向けのスポーツであり平均年齢は高め、前述のMarko氏は今年50歳です。
 現在この分野で世界最速と言われているStrasserは直前の24hレコードダメージが残っているようで、本大会への参加はとりやめていました。

 さてこの大会、そういったガチ勢以外にも、半分くらいは長距離ライド好きなサイクリストも参加します。24hで600km程度走れれば順位は中間くらいでしょうか。私はというと「ガチ勢に混ざりたいのだけれど実力が足りない」域です。
 1周29kmの周回コースは交通封鎖されてはおらず、一か所ある交差点では完全停止しなくてはなりません。ピット区間でも減速走行が求められていて常に全開で走れるわけではないけれど、それでも上位陣は確実に800kmを超えてきます。私は過去の出力データ等からどんなに上手く走れても760km程度。相手の調子によってはもしかしたら年代別入賞は狙えるかもしれない、そんな状況での参戦でした。

 そもそもこのレース、本来予定には全く入っていなかった大会で、1ヶ月ほど前に急遽参戦を決めます。平地のTTと最も苦手なジャンルですが、主催がRAAMと同じこの大会でそこそこの順位でゴール出来れば、翌年のRAAM参加の有力選手として取り扱われ方も違ってくるためそれを狙って。

RAW RACER HIROKAZU SUZUKI IN FOR BORREGO SPRINGSOne of the coolest aspects of the 6-12-24 Hour Time Trial World…

Race Across Americaさんの投稿 2017年10月9日(月)

 

 2017年は出版活動などで自転車にあまり乗れておらず調子は上がっていない状態でしたが、1ヶ月は長時間のTTポジション等、このレースの為のトレーニングを行いました(もちろん足りてません)。

 サポート要員である妻の仕事の関係で前日出国、一泊してレースです。
 ロサンゼルス空港到着は13時も、そこからBORREGO SPRINGSまでは渋滞で到着は20時過ぎ。予定していた試走は出来ませんでした。これが結果トラブルの一つに。

 当日は朝一度目覚めた後、13時まで睡眠。受付やバイク審査、ミーティングがあるためここから17時のレース開始+24時間起き続けることになります。
 受付後、ショートコース(5kmループ)のみ試走して準備。車でコースを回ってきたサポート根本さんによると後半の路面状態が悪いようです。

気温が落ちてきた中、レーススタート

 

 17時になってレース開始。スタートから20kmまではドラフティングOKとのことで先頭7,8人ほどが1列となって進みます。長丁場なので飛び出す人がいても誰も追わない感じ。 
 コース上に一か所ある完全停止な交差点を越えた後、右折して上り坂に入った地点からドラフティング不可となります。車間を少しあけると先頭と同じ速度で走るのはキツく、少し落としてマイペースで。前のほう数人はパックのまま行っちゃってるように見えますが。

 1周目通過タイムは45分、平均速度は39km/h弱。半周はドラフティングしてたので私でもこのくらい出るのは当然、ここからが本番です。
 数十メートル前の尾灯からは少しずつ離されていってるかな、後ろとはかなり距離があいているようで振り返ってもライトは見えません。ドラフティングしないまでも同じペースの人がいるとかなり楽なのにちょっと残念。
 一時停止交差点を越えて右折ポイント。あれ?右折の看板が無い?ここまでの右折ポイントには全て右矢印のボードがとりつられていたはず、1周目は確かここで曲がった記憶があるのだけどもう少し先だっけ?

 前走者の尾灯は前にも、交差点で右を向いても見えず、案内看板が無いからととりあえず直進。後ろを振り返るも後続は見えません。
 不安でサイコンのGPSログを確認するとやはりミスコース、引き返してタイムロスは2分ほど。タイムトライアルレースでミスコースなんて、何をやってるんだ私は……。既に日は落ちて真っ暗、状態の悪い路面で段差に突っ込み前輪からプシューという音、ミスコースの後はパンクか……。
 シーラントで一応漏れは止まるも、2気圧くらいでまともに走れないレベル。幸いにもピットまでは1,2kmで、タラタラ走ってタイヤ交換。

 タイヤを見るとサイドから空気が漏れています。チューブを入れてパンクは10分弱で直り、気を取り直して出発。入賞するためには35km/hを10時間キープが最低条件と考えており、まずはミスコース&パンクのロスを取り返すこと。
 徐々に遅れを取り返していた5周目、またパンクです。しかもパンクした場所は2周目と同じ地点と思い込み、1,2kmなら暗闇の中パンク修理するよりピットに向かうべき、と自転車小脇にランを選択。結局パンク位置を勘違いしていてピットまでは5kmのラン、冷えてきた砂漠の夜でお腹も冷えて大変なことになります。5周目のタイムは1時間35分…この時点で予定から1時間弱遅れてしまいました。

 新品タイヤに交換、修理直後にまたパンク、チューブを噛んでしまっていたようです。チューブにパッチを当てて貰っている間にもう一周してくることにします。3回のパンクで持ってきたチューブを全部使い果たし、予備チューブを持たずに出発したこの選択も裏目、コース対角あたりでまたまたパンク。オフィシャルカーを待ち、回収されてピットへ。ってわけでこの周回は無効に。

 ここまでで6時間50分経過、順当ならば8周回しているはずがまだ5周しかできていません。やる気がポキポキと折れていきそうですが「今後に繋がる走りをする」と言って出てきた手前、走り続けることに意識を集中しなくては。パンクしまくったタイヤは、ザッカーバーグ似のイケメンがGP4000Sとブチルチューブを貸して修理してくれました。

 

夜中もレースは続く

 

 さてここからは消化試合、明け方の砂漠は冷え込み、夜が明けて日が昇ればまた暑い時間の始まりです。18時間が経過したあたりから練習不足の体はだんだんと動かなくなり、風も強くなってきた中、最後3時間は痛みに耐えながらのゴール。結果は631.5km、101人中34位、同じく日本から参加した女性の尾澤さんにも大きく差をつけられる酷い結果に終わります(彼女は女性3位でゴール)。

もうフラフラ

 

リザルト

■マズかった点
・結果が残せていない
・結果を出すのが目的だったらスペアバイク(スペアホイール)を持っていくべきだった
・時間による出力の低下が激しい
・5周目のパンクは位置を確認してその場で修理すべきだった
・試走できなかった

■評価できる点
・24時間眠くならずに集中できた
・21時間までのCdAは0.22~0.25くらいで出力は低いもののポジションとしてはまずまず

 結果が大事なこのレースで大失敗。パンクによる大幅な時間のロス、それは言い訳で、実のところすべてがうまくいっていたとしても730kmくらいが限界でした。次の2018年RAAMは予算的にも一発勝負となります。失敗しないためにはまだまだ力が足りない、そう感じたレースでした。

中心部から1kmも離れるとこんな景色

 

 World Time Trial Championshipsといってもそんなに堅苦しい大会ではありません。アットホームな主催の雰囲気はブルベに近いものがあります。長距離を速く走ることに憑りつかれてしまった、そんな人はこういった海外の耐久レースに参加してみるのも面白いかと思います。


Comments are closed